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専門医インタビュー

患者さんの早期社会復帰を支援するMIS人工股関節置換術

平川 和男 先生

神奈川県

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日本整形外科学会 整形外科専門医 リウマチ専門医、日本リウマチ学会 リウマチ専門医、日本人工関節学会、American Association of Hip and Knee Surgeons、ORS、Society for Biomaterials

この記事の目次

人工股関節置換術は、変形性股関節症や関節リウマチといった股関節の障害の治療のために行われる手術であり、日本で年間約5万件行われています。中でも、皮膚を切開する長さを小さくし、患者さんの体にかかる負担を軽くするMIS(最小侵襲人工関節置換術)は、筋肉を切らずに温存するといった方法で、患者さんにやさしい手術の実現を図っています。今回は、国内で初めて整形外科のなかでも人工関節に特化した湘南鎌倉人工関節センター センター長であり、MISの草分けとして多くの患者さんの痛みを取り除いてきた平川和男先生にお話をうかがいました。

脚の付け根や腰、太ももの痛みや、左右の脚の長さに違いが出るなど、中高年の女性に多い変形性股関節症について教えてください。

変形性股関節症は、股関節のクッションの役割を果たす軟骨が磨り減ってしまうことで痛みが出る病気です。日本ではその多くが先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全、つまり生まれつき股関節のかみ合わせが悪いという構造に原因があり、その割合は8割以上と言われています。
ちなみにこの比率の多さは日本特有で、ヨーロッパ、アメリカ、同じ東南アジアでも中国、台湾、韓国などでは、生まれつきというのは決して多くはありません。島国で閉鎖された空間が何千年も続いたため、遺伝子が関係あるのかもしれません。同じく島国であるイギリスでは、日本ほどではありませんが、他のヨーロッパの国々に比べれば多く、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸に挟まれた中南米地域もどちらかといえば多い傾向があります。
性別に関しては、9対1と圧倒的に女性に多い疾患であるという構図は昔から変わりませんが、股関節が脱臼した状態で生まれてくる子は劇的に減りました。ただ、かみ合わせが良くない状態で生まれてくる子の割合はあまり変わらないようで、そういう人たちが中高年以降になってはじめて「実は生まれつきだったの?」と気づくというのが最近の傾向です。

患者さんの受診のきっかけはどのようなものでしょうか?

やはり痛みです。最初は膝が痛い、腰が痛いといって病院にかかるので、股関節が原因と気づかないこともあります。膝、腰ともに異常がないようであれば、股関節に原因がある可能性があります。なお変形性股関節症のほかに、股関節の痛みの原因となる疾患としては、関節リウマチや骨頭壊死などがあげられます。
早期治療は非常に大切です。程度が軽いうちは保存療法で症状を緩和できる場合もあります。ただ、股関節の痛みの原因となる疾患には個人差が大きく、変形の程度もスピードも100人いれば100通りあります。また同じ患者さんでも、左右で進行度合が異なっていることもあります。もし違和感を覚えた場合は、早期に医療機関に相談し、経過を診ながら対処を行ってください。


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