関節治療の専門医に聞いてみました!

第103回 これからひざの手術を受ける方必見!
   入院~手術までの流れとよくある質問

ドクター
プロフィール
日本整形外科学会専門医、 日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、医師臨床研修制度に係る臨床指導医、日本人工関節学会評議員、中部日本整形外科・災害外科学会評議員
エリア 富山県タグ
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長年悩み続けたひざの痛みとさよならするために、人工膝関節置換術を受ける方は年々増え続けています。

しかし、いざ手術を決意すると「入院に必要なものは?」「手術前に行う手続きは?」「どのくらいリハビリをするの?」「入院中に分からないことがあったら誰に聞けばいいの?」など、特に人生で初めての手術となると、その不安や迷いの大きさは計り知れません。
そこで今回は、済生会富山病院整形外科の藤井先生をはじめ、患者さんを支える病院スタッフの方々に、入院~手術~退院までの一般的な流れと患者さんからのよくある質問についてお話を伺いました。これから手術を受ける方、必見ですよ!

手術が決まったら

手術が決まった患者さんと接する機会が多い病院スタッフについて教えてください。

<医師>

手術前と退院後の通院している期間に患者さんが接する機会が多いのは外来看護師、入院手続きなどの事務的なことは事務のスタッフが対応します。手術前からリハビリを始める場合は理学療法士が患者さんのケアをして、この関係は退院後まで続きます。入院後は病棟看護師、手術においては手術室看護師が患者さんのケアにあたります。退院後の家の改修の相談、介護保険の申請などは医療ソーシャルワーカーが福祉の窓口となって担当します。手術をメインで行うのは医師ですが、このようなスタッフが連携して、患者さんが安心して日常生活に戻れるまでをサポートしています。

手術から退院までの流れを教えてください。どのようなことをするのですか。

<外来看護師>

意を決して手術を受けられる患者さんは、いろいろな不安や疑問を抱えていらっしゃいます。最初に接する医療スタッフとして患者さんの悩みや疑問を引き出し、入院前に解決していただけるように、必要な情報を提供するよう心がけています。手術に関する一連の流れは、基本的には、それぞれの説明資料をお渡しして、それに沿って説明をしています。

手術を受けるにあたり、輸血はするのでしょうか?

<外来看護師>

患者さんの貧血の程度や手術中の出血が多いと予想される場合、患者さんからあらかじめ採血しておく「自己血貯血」を行います。病院によって異なりますが、自己血貯血は主に人工股関節手術で行い、人工膝関節手術では行いません。

手術前に行う手続きは?高額療養費について教えてください。

<事務>

保険制度が複雑でわからないという患者さんが多く、手術前に説明するようにしています。高額療養費の減額対象者の場合、事前に手続きをしておくことで、患者さんの負担が軽減できます。術後の申請だと一時的に立て替えをして3カ月後に還付されます。ですので、事前手続きをおすすめします。具体的には、70歳未満で3割負担の健康保険を使用している患者さんは、高額医療の対象になります。高額療養限度額適用の申請を行うよう推奨しています。また、70歳以上の前期・後期高齢者医療制度の方で1割負担となっている方についても標準負担額が減額される場合があるので、各市町村・行政センターで確認してください。費用については70歳未満の方で高額医療事前申請した場合、自己負担額は約23万円程度。70歳以上で一般負担の場合、前期高齢者の方は約18万円程度、後期高齢者の方は約15万円程度です。(2014年4月現在)

手術前にどのようなリハビリをしますか?

<理学療法士(リハビリ)>

入院前からリハビリを実施している病院では、手術までの間、外来で術前リハビリを行います。 ひざの曲がり具合、歩行のクセといった身体機能を検査したり、寝室は1階にあるか、ベッドか布団か、トイレは洋式かなどの生活環境の調査をしたり、自宅でできる運動を指導します。安心して手術に望めるように、また手術後のリハビリが円滑にすすむようサポートします。事前のリハビリをすることで、私たちだけでなく、患者さんも術後に改善していく様子を実感できます。また退院後の生活がスムーズに営めるように、トイレの改修や ベッドの購入が必要な場合は、入院前から進めていただくようにお話します。

なぜ、手術前からリハビリを行うのですか?

<理学療法士(リハビリ)>

早期からリハビリを行うことによって、筋力低下や関節の動きが制限されることを予防できます。手術の3 〜4週間前からリハビリを始めておくと、術後にはその習慣がついているので、患者さんにとっても、あとあとのリハビリが楽なようです。また早期の機能回復は、早期の退院を可能にします。

入院(手術前)

入院に必要なものは?

<外来看護師>

人工関節手術だからといって特別に準備してもらうものはありません。一般の入院患者さんと同じものを準備していただきます。下着、タオル類、洗面道具、箸、コップ、ティッシュ、内履きズックなど。リハビリを行う際は、スリッパではなく、かかとがしっかり入ってすべりにくい、履き慣れたものをご用意ください。

手術

いよいよ手術!人工膝関節置換術を安全に行うためのポイントを教えてください。

<医師>

手術に用いる器械はもちろんのこと、感染予防には最大限の注意を払います。最近は、厚労省が先進医療として認めた3D画像を希望される患者さんが増えています。これは通常のレントゲンではなく、関節部分を3次元、つまり3Dの画像で撮影するもので、それを元にした骨の模型も作ります。患者さんは「自分の関節がしっかり見えているので安心」と言われることが多いです。医師としては、手術のシミュレーションができるという利点があります。

手術前に食事や入浴はできますか?

<病棟看護師>

手術を行う時間帯によりますが、午前中の手術の場合手術前日の21時以降は飲んだり食べたりできません。手術中に麻酔をするとき、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を防ぐために胃をからっぽにしておく必要があるからです。シャワー、入浴は手術の前日や当日にしていただいています。

麻酔や点滴について教えてください。

<手術室看護師>

人工関節置換術は全身麻酔で行います。手術当日から点滴を行い、手術前夜からは飲食禁止ですが、経口補水療法を導入している場合は、点滴のかわりに経口補水液を飲みます。電解質のスポーツドリンクのような味で、前日の夕食後と当日の10時までにそれぞれ500ミリリットルです。そのため空腹感や喉の渇きが和らぎます。経口補水療法を行うにはいくつか条件がありますので、適応のある方におすすめしています。

麻酔はどれくらいの時間で醒めますか? 途中で麻酔が切れたら怖いのですが・・・

<手術室看護師>

麻酔科医が、麻酔薬を使用管理しているので手術中に目が醒めることはありません。手術が終われば醒めるようになっています。


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