関節治療の専門医に聞いてみました!

第248回 人生100年時代。膝痛の早期受診は
健康寿命を延ばす
大きなチャンスです

ドクター
プロフィール
専門分野:整形外科全般、膝関節、人工関節
資格:医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医
エリア 神奈川県タグ
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小宮 浩一郎 先生

膝の痛みに悩む方は、年齢が高くなるほど増えています。原因として多いのが変形性膝関節症によるものですが、保存療法を続けても効果を得られない場合、人工膝関節置換術も痛みのない活動的な人生を取り戻すための選択肢のひとつとなります。「痛みに耐えきれなくなってから手術するよりは、もっと早い段階での決断を」とアドバイスする川崎市立川崎病院の小宮先生に、膝の痛みの原因や体への負担をできるだけ抑えた手術方法などについてお話を伺いました。

変形性膝関節症について教えてください

変形性膝関節症のレントゲン(O脚になっています)

変形性膝関節症の
レントゲン
(O脚に
なっています)

変形性膝関節症とは、加齢に伴う膝関節の変化で、一般的には大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の表面を覆った軟骨のすり減りとして現れてきます。軟骨の間には衝撃を吸収するクッションの役割を果たす半月板があり、軟骨がすり減る前段階では半月板の機能低下も数多くみられます。
高齢で強いO脚を呈する方がしばしばおられますが、これは進行した変形性膝関節症の典型的な例です。日本人は解剖学的にO脚になりやすい傾向にあり、9割の方で加齢とともにO脚の変化が見られると言われています。加えて、畳に座る伝統的な生活スタイルから、体重をかけてしゃがみ込み、立つという動作の繰り返しが膝へのストレスにつながっていきます。
膝関節を含めて、人間の体の構成する様々な部品は消耗品であるというのが大前提です。年齢を重ねるうちに消耗してくるのは誰でも同じですが、結果として強い痛みを感じるまで進むかどうかは人それぞれで、暮らしの中で膝をどのように使ってきたかに大きく影響されます。

受診すべきタイミングはいつ頃になりますか?

変形性膝関節症の3D-CT画像

変形性膝関節症の3D-CT画像

膝痛は年齢に伴って起きるある意味自然な現象なので、気にならない程度の痛みであれば当面は自宅で様子を見るのでも良いでしょう。ただ、痛みが長く続いたり、症状が強くなる、水が溜まるなどの変化があれば、一度受診することをお勧めします。もちろん、日常生活に支障が出るような痛みを感じているのであれば、すぐに受診する必要があります。
我慢できない痛みではなくても何となく膝を気にして日々暮らしているのであれば、整形外科を受診し、レントゲンやMRIなどの検査を行って、膝を構成する骨や軟骨、半月板、靭帯、筋肉などの状態をきちんと評価しましょう。ご自身の膝の状態を客観的に知れば、生活上の注意点がよく理解できます。そしてこれらの注意点に配慮することができれば、その後の何十年間かの生活の質が大きくかわることでしょう。なお受診する前には、ご自身の痛みについて医師に説明できるように整理しておくと、より適切な診断を受けられます。痛みが出るのは膝のどの部分で、どのような動作をしたときか、左右差はどうか、時間帯は関係しているかなど、よく観察してみてください。

変形性膝関節症ではどのような治療を行いますか?

ヒアルロン酸の関節内注射

ヒアルロン酸の関節内注射

変形性膝関節症と診断されて、いきなり手術を勧められることは少なく、まずは生活習慣の見直しや、保存療法を行います。畳の上で寝起きしている方であれば、ソファやベッドを使う生活に変え、低いところに座らないようにするのが、膝をいたわる方法のひとつです。
体重が重いと膝への負担が増すため、標準体重以上ある方は減量も心がけてください。とはいえ、膝が痛むと活動量が落ちて、消費エネルギーを増やすのは簡単ではないため、減量は摂取カロリーを抑えることを中心にして、食生活を見直すようにします。このような心がけは体の内側から健康になるチャンスでもあります。膝の痛みへの対応が結果として健康寿命の延伸につながりますから、ぜひとも生活習慣改善に努めてほしいと思います。
保存療法としては、膝関節の安定性を高められるよう大腿四頭筋のトレーニングや、痛み止めを飲む、湿布を貼るなど薬を使った治療が一般的です。症状が初期であれば、ヒアルロン酸の関節内注射を数回繰り返すことで、痛みがかなり和らぐ方もいます。このような治療を続けても痛みが改善しない場合は、手術の選択も出てきます。


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