関節治療の専門医に聞いてみました!

第264回 大切なことは自分の脚で歩けること。
適切な治療を受けて
健康寿命を延ばしましょう

ドクター
プロフィール
専門:膝関節外科、リウマチ関節外科、スポーツ整形外科
資格:日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
エリア 東京都タグ
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二木 康夫 先生

変形性膝関節症の治療では、保存療法で改善が見られない場合、次の選択肢として人工膝関節置換術があります。ところが、慶應義塾大学病院の二木康夫先生は、「“痛みに対して過敏な状態”を抱えたまま手術を受けてしまうと、術後に痛みが残存する」と話します。
中高年に多い膝痛の原因と治療法や人工膝関節置換術について詳しく伺いました。

中高年に多い膝痛の主な原因は何ですか?

半月板

膝痛の原因で多いのは変形性膝関節症です。これは膝関節にある軟骨がすり減り、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)がぶつかり合うことで痛みが生じる疾患です。変形性膝関節症は通常だと60代以降で発症するケースが多いですが、その要因というのは患者さんによって異なります。
まずは半月板損傷から来るものがあります。半月板とは膝関節のクッションの役割を果たしている組織のことで、加齢やスポーツにより損傷します。半月板のクッション機能が弱まると、次第に膝関節の軟骨がすり減ってしまいます。次に、BMIが30を超える肥満の方や、激しいスポーツを頻繁にされる方は、40代くらいから軟骨のすり減りが始まるといわれています。さらに、若いときに膝関節の安定性に重要な役割を果たす十字靭帯を損傷して、そのまま治療せずに放置していた場合も、軟骨の摩耗が通常よりも早く進行します。その他、関節リウマチや偽痛風などの炎症性の疾患を持っている場合も、変形性膝関節症のリスクが高まります。

変形性膝関節症の治療法について教えてください

大腿四頭筋

大腿四頭筋

中高年の方の膝痛の原因として最も多いのが変形性膝関節症ですが、約9割の患者さんは保存療法と呼ばれる手術をしない治療を受けています。保存療法は運動療法が主体であり、有酸素運動と呼ばれている強度の低い運動を長めに行います。さらに、筋力トレーニングとして、特に大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)を中心に鍛えます。次に、薬物療法があります。最近は、通常の消炎鎮痛薬の他にさまざまな種類の鎮痛剤が出てきており、症状・原因に合わせて使われるようになってきました。
運動療法や薬物療法で痛みが改善されない場合は、ヒアルロン酸注射が行われます。ヒアルロン酸は、分子量が高いほど長く、強い効果が期待できます。そのため、通常のヒアルロン酸で痛みが改善しない場合、超高分子のヒアルロン酸を使用することもあります。超高分子ヒアルロン酸注射は保険適応で半年に3本までという決まりがあります。ただし、超高分子ヒアルロン酸注射は人工的に合成しているため、しばしばアレルギー反応を起こすことがあるので注意が必要です。その他に、自由診療にはなりますが、PRP(多血小板血漿)療法という患者さん自身の血液に含まれる成長因子を利用して治癒を促す再生医療も行われています。ただしPRP療法は厚生労働省に届出が受理された医療機関のみで行われています。このような保存療法で痛みが改善しない場合は、次の選択肢として手術療法があります。


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