関節治療の専門医に聞いてみました!

第277回 膝(ひざ)の痛みが消えた歩ける喜びをいつまでも
変形性膝(ひざ)関節症の
治療で健康寿命を延ばす

  • 西森 誠 先生
  • 広島市立安佐市民病院 整形外科・顕微鏡脊椎脊髄センター部長、リハビリテーション科部長
  • 082-815-5211
ドクター
プロフィール
日本整形外科学会専門医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会評議員、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、医学博士
エリア 広島県タグ
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西森 誠 先生

診断から治療までは、どのような流れですか。

ヒアルロン酸などの関節注射

ヒアルロン酸などの関節注射

患者さんの生活背景や痛みの状況などをお聞きした上で、診断をしていきます。膝に体重をかけたときのレントゲン画像で骨の変形の程度を見て、進行段階を確認し、MRI検査で半月板や軟骨の状況を把握します。初期の治療では、鎮痛剤やヒアルロン酸などの関節注射、装具や整体などで、痛みを一時的に和らげます。また、体操や生活様式の改善などのアドバイスも行います。症状が改善せず、患者さんの生活に支障が出る場合には、手術法も提案していきます。

手術を決断するのは、どのタイミングがいいのでしょうか。

西森 誠 先生

手術をするまでには、薬物療法や運動療法など何らかの手段で症状を和らげてこられていると思います。しかし症状が改善されず日常生活が困難になるようであれば、手術を検討する時期かもしれません。手術は、あまり症状が進行していないほうが軽く済むことが多く、ほとんど歩けないような状態で手術をすると、リハビリ期間が長くなるなど予後に違いが出ます。
頭や内臓に疾患がなくても、膝が悪いために仲間と旅行に行けなかったり、楽しみの買い物ができなくなったり、歩行が不自由だと行動範囲がどんどん狭くなりがちです。家の中での時間ばかりが増えると、認知症の進行や体力の低下につながることにもなりかねません。
中には、痛みで歩けないほど限界に達してから、手術を決意する患者さんもいます。痛いまま我慢して人生を過ごすか、手術で痛みを取り除くか、選択するのはもちろん患者さんご自身です。私たち医師は、病態に適した治療、手術方法を提示します。

手術にはどんな方法がありますか。

内視鏡で症状を改善します。

内視鏡で症状を改善します。

手術には、内視鏡による手術、骨切り術、人工膝関節置換術の3種類があります。


【内視鏡】対象:半月板に損傷がある場合
膝に2箇所から内視鏡を入れ、半月板を修復したり、軟骨の破片を取り除いたりすることで症状を改善します。局所だけ損傷している場合は、自化骨修復をする方法もあります。術後、数日で歩行が可能です。


【骨切り術】対象:軟骨に変性がある場合
人工的に骨折を起こし、外側に体重の軸がかかるように骨を切り、関節の構造を整える方法です。O脚をX脚にするイメージで、体重負荷線を変えます。女性で骨粗鬆症が進行している場合や、高齢の方には適用しません。およそ1~1カ月半の入院が必要です。入院期間が長く、痛みが取れるまで時間がかかるものの、術後の動きに制限がないため比較的若い50-60歳代の方に多く施術します。

オープンウエッジ法

オープンウエッジ法

クローズドウエッジ法

クローズドウエッジ法












【人工膝関節置換術】対象:症状が進行した場合
変形した関節を取り除き、人工関節に置き換える手術です。チタン合金製などの人工関節の中から、一人ひとりの膝の前後や幅を見て、合致するサイズのものを入れていきます。手術の正確性を高めるため、事前にナビゲーションシステムを使って設置位置を決めて手術をします。手術直後の数日~1週間は傷の痛みが続く場合もありますが、神経ブロック注射等で痛みは鎮静します。3週間程度の入院期間が必要です。

人工膝関節置換術
人工膝関節全置換術のレントゲン

人工膝関節全置換術の
レントゲン


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