関節治療の専門医に聞いてみました!

第277回 膝(ひざ)の痛みが消えた歩ける喜びをいつまでも
変形性膝(ひざ)関節症の
治療で健康寿命を延ばす

  • 西森 誠 先生
  • 広島市立安佐市民病院 整形外科・顕微鏡脊椎脊髄センター部長、リハビリテーション科部長
  • 082-815-5211
ドクター
プロフィール
日本整形外科学会専門医、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会評議員、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、医学博士
エリア 広島県タグ
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西森 誠 先生

男女ともに世界トップクラスの平均寿命を誇る日本。一方、健康上の問題がなく、自立した生活ができる期間を指す「健康寿命」は、平均寿命よりも約10年間短く、人生の終末期を要介護や寝たきりで過ごす人が多い。健康寿命を延ばす大きな鍵の1つは、自分の足で歩けること。痛みは我慢するものではなく、治療できるのです。膝の痛みの原因と治療法について、広島市立安佐市民病院 整形外科・顕微鏡脊椎脊髄センター部長の西森誠先生にお聞きしました。
《参考》男性の平均寿命80.21歳、健康寿命71.19歳/女性の平均寿命86.61歳、健康寿命74.21歳。(平成25年厚労省統計)

膝が痛む原因について教えてください。

変形性膝関節症

変形性膝関節症

膝の痛みの疾患は様々ありますが、特に多いのは「変形性膝関節症」です。関節のクッションの役割を果たす軟骨は、加齢とともにどんどん磨り減っていきます。軟骨は神経も血管もない組織のため、一度傷がつくと修復できません。細胞組織の変性が始まると徐々に壊れていき、大腿骨の体重がかかる部分が損傷してきます。軟骨がなくなると、骨と骨が直接当たるため、関節が変形して炎症を起こし痛みが出ます。
痛みが悪化して膝が曲げられず歩けなくなると、関節周囲の筋力がさらに落ち、体重が支えきれず負担がかかるため、悪循環となって症状が進行します。平均寿命が延びてきたことも影響し、変形性膝関節症と診断される患者さんの数は増加傾向にあります。

膝の変形はどのような人に多く発症しますか。

O脚と正常な脚

   O脚      正常な脚

軟骨の細胞や組織の変性は、すでに20歳~30歳代から始まっています。日本人はO脚の方が多く、体重が膝の内側に強くかかるため、軟骨がすり減りやすくなります。また、男性よりも女性に多く発症する傾向がありますが、その理由としては脚の形や骨盤が外に広がっていることや、正座の習慣で湾曲しやすいことが影響しています。膝の関節にかかる体重の負荷は、歩くと4倍、走ると7倍といわれ、肥満傾向の方は注意が必要です。

日常生活の中で、膝の痛みを防ぐ方法はありますか。

下肢伸展挙上訓練

下肢伸展挙上訓練

適度な運動や膝周囲の訓練をして筋力をつけたり、体重をコントロールしたりして膝への負担を減らすことが大切です。膝が痛い方に推奨しているのは、水中ウォーキングです。水中では浮力と水の抵抗があり、地面を歩くよりも膝への負担が少ないため、プールで泳いだり、歩いたりするのはお勧めできます。トレーニングをしたからといって、すぐに膝に筋力をつけるのは難しいのですが、実年齢以上に筋肉が落ちないように、今の筋力をできるだけ維持することが、膝の痛みを防ぐ近道になります。

変形性膝関節症の症状は、どのように進みますか。

変形性膝関節症のレントゲン画像

変形性膝関節症の
レントゲン画像

初期には、立ち座りの痛み、膝の伸び・曲げづらさなどを覚えます。進行期には、立ち上がりの際や階段を下りる時、下り坂での曲げ伸ばしに痛みを感じるようになります。関節の隙間がなく、骨が削られてしまった状態が末期ですが、この時には非常に激しい痛みが出ます。歩行ができないわけではありませんが、中には家の中を這うほどの痛みがある人もいます。治療や運動で進行を緩やかにすることはできても、変形した骨は元には戻りません。


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