関節治療の専門医に聞いてみました!

第278回 背骨が曲がる、腰が曲がる変性後弯症(腰曲がり)は、病気です。
歳のせいとは限りません。
脊椎専門医に相談を

ドクター
プロフィール
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会外科名誉指導医、医学博士
エリア 東京都タグ
この記事の印刷用PDF
松崎 浩巳 先生

高齢化が進むと、背骨が曲がり、お辞儀をしたような状態になる変性後弯症(いわゆる腰曲がり)に悩む方が増えています。「年のせいだから仕方ない」と諦め、病院に行かない方も多いですが、腰曲がりはれっきとした病気です。放置すると、強い腰痛や足の痛み・痺れ、内臓障害など、さまざまな症状につながりかねません。腰曲がりの原因や予防法、治療法について、医療法人社団苑田会 東京脊椎脊髄病センターの松崎先生に幅広くお話を伺いました。

背骨の構造について教えてください

脊柱側面:S状の弯曲あり

脊柱側面:S状の弯曲あり

脊柱正面:まっすぐ

脊柱正面:まっすぐ

まず背骨の構造についてお話すると、背骨は医学用語では脊椎(せきつい)といい、椎骨(ついこつ)と呼ばれる24個の骨から構成されています。脊椎は、頚椎(けいつい)(首の部分)、胸椎(きょうつい)(背中の部分)、腰椎(ようつい)(腰の部分)の3つに分けられ、その下の仙椎(せんつい)につながっています。それぞれの椎骨の間には、椎間板と呼ばれるクッションの役割を果たす軟骨板があります。椎骨は、椎間板と関節で上下につながっていて、ある程度の動きがあります。頚椎から仙椎までを総称したのが脊柱(せきちゅう)で、これが壊れてくると「変形がある」と呼ばれる状態になります。

背骨の変形タイプや腰曲がりについて教えてください

側弯症/後湾症(変性後湾症)/外傷性後弯症

      側弯症      後弯症(変性後弯症)     外傷性後弯症

変形にもいろいろ種類があり、正面から見て横に傾くのが側弯症(そくわんしょう)、真横から見て頭が垂れ下がるようになるのが首下がりです。また、腰椎部で体幹が前に倒れたようになるのが後弯症(こうわんしょう)で、これが一般的に「腰曲がり」と呼ばれるものです。後弯症は、大きく2つに分けられます。ひとつが、加齢のために多くの椎間板がつぶれて狭くなり、前に傾いていく変性後弯症(へんせいこうわんしょう)です。後方には関節があるためつぶされにくいのですが、前方は支えるものがないので、つぶされやすく、また、老化により椎間板がつぶされ前に傾きやすくなるのです。もうひとつが、骨粗しょう症により知らないうちに脊椎の圧迫骨折が起こり、椎骨の前側がつぶれて曲がっていく外傷性後弯症です。これらはいずれも高齢の人に多い病気です。さらに高齢になると腰の筋力が弱くなり、前に倒れた体幹を後ろから引っ張る力が弱くなることも要因のひとつです。特に、パーキンソン病(手足の震えや筋肉のこわばりなど、運動機能が障害される病気)の方では、腰や背中を後ろから支える筋力がうまく働かなくなり、後弯はどんどん強くなります。

高齢者で多い腰曲がりの原因は何でしょうか?

松崎 浩巳 先生

腰曲がりは、60~80歳代の女性に圧倒的に多い病気です。男性より女性に多いのは、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの減少が関係するといわれています。エストロゲンは、骨の新陳代謝に際して骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。しかしながら、閉経に伴って女性ホルモンの分泌が減ると、急激に骨密度が減少し、知らない間に圧迫骨折を引き起こし、強い腰曲がりとなるケースが少なくありません。それ以外でも、農家やお豆腐屋さんなど、常に腰を曲げているような職業の方も発症しやすい病気です。


記事の一覧へ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

ページの先頭へ