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専門医インタビュー

筋肉を温存する人工膝関節置換術 ~あなたの痛みと向き合います~

平中 崇文 先生
  • 平中 崇文 先生
  • 高槻病院 関節センター センター長 主任部長
  • 072-681-3801

大阪府

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医学博士、日本整形外科学会専門医、神戸大学臨床准教授

この記事の目次

高齢になると増える膝の痛み…。日本で膝痛に悩む人は2000万人に上ると言われています。高槻病院の平中先生は、患者さんへの負担軽減・早期回復を支援するという観点から、傷口が小さく、筋肉を切らずに温存するMIS(最小侵襲手術)という手法を用いています。両側とも手術が必要な方へは、「2度も痛い思いをさせたくない」と、両膝同時手術を行います。今回は、その治療法や人工膝関節置換術について平中先生にお話をお伺いしました。

高齢になると膝の痛みを訴える方が多くなりますが、原因は何でしょうか。

ひとことで言えば加齢現象です。どんなに上等な機械でも長年、繰り返し動かしていると劣化してきます。膝関節も長年繰り返し使っているうちに、関節の骨を覆っている軟骨が磨り減り、骨と骨がぶつかり合うようになり、変形していきます。変形したところが炎症を起こし、痛みが出てくるのです。これが変形性膝関節症です。例えば、長年履き続けた靴の底は斜めに磨り減ります。磨り減り方は人それぞれ違います。膝関節も同様に、歩き方や体重のかかり方などによって様々に軟骨が磨り減り、変形していきます。お年寄りにO脚が多いのも、膝関節の内側が磨り減ることが多いからです。

症状はどのように現れてきますか。

最初に現れる症状は、立ち座りの際の痛みです。それから階段昇降、動作の動き始めや歩き出しに痛みだします。朝一番に起き上がるときにも痛みなどが現れます。当初は昼間、動いていれば気にならない程度の痛みが、だんだんと歩行時にも痛むようになります。そして歩行できる距離が短くなり、杖や押し車がないと歩けなくなり、活動範囲が狭くなっていきます。動かなくなるから余計に関節周囲の筋肉が衰え、変形が進むという悪循環に陥るようになります。

最初に受診されるのは、どういった段階の痛みでしょうか。また、初期治療は?

日本人は相対的に我慢強く、歩行時にも痛みが出てきて初めて受診される方が多いですね。治療としては、鎮痛剤、痛み止めの注射、関節へのヒアルロン酸注射、塗り薬、湿布、温熱療法、関節周囲の筋肉を鍛えるリハビリなどといった、保存療法を行います。肥満の方は体重を落とすことも必要です。こうして変形性膝関節症と診断された方の8割強の方は、痛みはあっても何とか普通の生活が維持できます。しかし、どんなに保存療法をおこなっても、一度磨り減った軟骨が再生するわけではありません。中には常時痛くて歩けない、杖歩行も難しいという具合に、変形性膝関節症が進行して行く方もいらっしゃいます。そうなると早めに次の段階の治療を考えたほうがいいでしょう。


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