専門医インタビュー
三重県
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人工関節置換術の実施数は、股関節も膝関節もこの10年間で約2倍になっています。高齢化社会と手術方法が安定化してきたのが要因だと思いますが、まだまだ正しい情報を知らない人もいるのでは?
「関節を専門にしている整形外科医に相談して、今の膝や股関節の状態を正しく把握してください」と話す長谷川正裕先生に聞きました。
変形性膝関節症(左)と寛骨臼形成不全(右)
膝の痛みは圧倒的に年齢の影響が大きいと思います。膝の中でも一番多いのが変形性膝関節症ですが、「高齢」「肥満」「女性」というのが3大危険因子といわれています。
一方股関節の痛みは、わりと若い方にも見られます。日本人において、変形性股関節症の8割の原因が、股関節の形態異常である寛骨臼形成不全で、必ずしも高齢が危険因子になるとはかぎりません。ずっと症状がなかったけれど、50歳くらいになって初めて股関節が痛くなり、レントゲンで寛骨臼形成不全だったのがわかったという患者さんもいます。
肥満を予防すれば、膝の痛みは予防できるでしょうが、変形性股関節症は残念ながら運命みたいなものです。体重を管理することで股関節を長持ちさせることができても、いずれちゃんと治療しなくてはいけなくなります。
水中での筋力トレーニング
変形性膝関節症も変形性股関節症も、どちらも軟骨がすり減ってしまうために痛みが出ます。そして関節が変形して、筋肉の力も弱り、動きづらくなります。
症状がひどくならないための予防として、筋肉を鍛えることが有効です。膝の関節を支える太ももの筋肉が特に重要で、初期の状態ばかりでなく、変形が相当進んだ状態でも筋力トレーニングは大事です。また手術後のリハビリにおいてもそれが中心になります。どの時期においても、筋力トレーニングは重要です。
股関節の場合も筋トレはそれなりの効果はあると思います。脚を横に上げる運動などで、お尻の筋肉、中殿筋などを鍛えましょう。
ヒアルロン酸注射
膝の痛みを和らげる方法としてよく行われているヒアルロン酸注射は、日本整形外科学会では推奨していますが、アメリカ整形外科学会では推奨されていません。軽症の人には効果があるけれど、変形が進んだ人には効果は弱いということになります。1クール、5回の注射をしますが、それで改善しない人は何度しても効果がないかもしれません。
いずれにしてもしばらくの間は、これらの保存療法で、痛みと付き合いながら様子を見るということになります。
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