専門医インタビュー
京都府
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高齢になるほど、悩む人が増える「膝の痛み」。その原因の多くは、膝軟骨のすり減りによるものですが、一度すり減ってしまった軟骨は、二度と再生することはありません。治療法には保存的治療と手術療法がありますが、どのように自分に適した治療法を選べば良いでしょうか?
そこで今回は「治療法を選択する際には、今後のライフスタイルにおけるポイントは何かを見極めるのが重要」と話す、京都府の宇治武田病院(宇治市)の清水長司副院長に、膝の痛みの原因や治療法について伺いました。
膝痛の原因は様々ですが、高齢者の場合は骨がすり減るなどして痛みが出る「変形性膝関節症」の方が多くいらっしゃいます。変形性膝関節症には、大きく分けて一次性と二次性の2種類があります。膝の骨の表面は軟骨で覆われており、骨同士が直接触れあわないようになっていますが、加齢や肥満、筋力低下などで膝軟骨がすり減り傷がつくと、骨同士が当たるなどして痛みが出るようになります。これを「一次性変形性膝関節症」といい、60代以降の高齢者に多く見られます。
これに対して、ケガや骨折などが原因で膝に痛みが出るものを「二次性変形性関節症」といい、これは若い方にも当てはまります。
軟骨は「骨」とは書きますが、90%以上が水分でできていて、骨とは全く違うものです。軟骨は主に硝子(しょうし)軟骨と線維軟骨に分けられます。関節面を覆っている軟骨は硝子軟骨で、クッション性と対摩耗性に優れています。この軟骨細胞は自己増殖能力が非常に乏しく、ほとんど再生しないと言われています。感覚的には、「永久歯」や「車のタイヤ」をイメージするとよいでしょう。一度ダメージを受けると二度と再生することはありません。そのため、一度損傷を受けると硝子軟骨では修復されず、線維軟骨に置き換わります。線維軟骨はクッション性と対摩耗性が硝子軟骨に劣りますので、変形性関節症の誘因となります。
また、軟骨は血流が非常に乏しい組織です。養分にせよ何等かの薬みたいなものでも血液によって供給されるのですが、軟骨にはこの血流がない部分があるので手が出せません。このような生まれ持った膝軟骨を、70年も80年も使い続けるのですから、高齢とともに不具合が出てくるのは当たり前のことです。軟骨はただ、“すり減るだけ”なんです。膝痛は以前、農家の方などの一部の人の悩みと言われていましたが、高齢化が進むにつれ、一般の人にも多く広がっています。
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