専門医インタビュー
埼玉県
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脚の付け根や太もも、お尻のあたりの痛みは、変形性股関節症を含む股関節疾患が疑われます。実は、腰や膝の痛みも股関節が原因になっていることがあります。その部位に痛みがある場合、迷わずに股関節専門医を受診してほしいと話す伊志嶺先生に、股関節の痛みの原因と治療法について伺いました。
股関節は、私たちの体の中の最も大きな関節で、体重が大きくかかっています。そのため骨盤側にある寛骨臼と、そこにはまり込んでいる大腿骨頭が直接ぶつからないように関節軟骨が存在し、クッションの役割を果たしています。ところが、この関節軟骨が加齢などによってすり減ってしまうと、骨と骨が直接当たり、痛みを感じるようになるのです。
寛骨臼と大腿骨頭が直接当たり続けると、骨の変形も進んでいきます。これが、変形性股関節症です。
変形性股関節症の原因は、特に、日本人では骨盤の屋根部分(寛骨臼)が大腿骨骨頭を覆っている面積が生まれつき小さい「寛骨臼形成不全」が多く、女性に多いといわれています。
さらに、最近では、骨盤の屋根部分がせり出してしまう「股関節インピンジメント」や、寛骨臼のフチにあり、大腿骨が簡単に外れないようパッキンのような役割を果たしている関節唇が損傷してしまう「関節唇損傷」も、変形性股関節症に進むのではないかといわれています。
変形性股関節症のレントゲン
寛骨臼形成不全、股関節インピンジメント、関節唇損傷も、変形性股関節症と同様に、股関節周囲に痛みが出て、初めて気がつくことが多い病気です。
ただ、外来で「股関節が痛い」と訴える患者さんはそう多くありません。多くは、脚の付け根(鼠径部)やお尻(臀部)、太もも、膝周囲のあたりが痛いと表現する方がほとんどです。しかも、そのような痛みの場合、必ずしも股関節が原因とは限らず、腰や膝が原因になっていることもあります。
そのため、痛みの原因が腰や膝関節なのか、股関節なのかを見極める必要があります。私の場合、股関節だけでなく、腰、膝関節などの診察所見もしっかりと確認するようにしています。
その中で股関節の診察所見が疑わしければ、レントゲンを撮り、寛骨臼形成不全や変形性股関節症などの形態異常も含め股関節の状態を詳しく確認していきます。また、腰や膝関節に原因がありそうなときには、腰や膝関節のレントゲンも撮り、再び診察して、見逃さないように心がけています。レントゲンで特に異常が見られない場合は、MRIを撮って確認が必要な事もあります。
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