専門医インタビュー
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膝痛は、リウマチなどの病気、腰や股関節が悪くても起こることがあります。痛みの原因をしっかり診断してもらうことが重要だと話す豊橋市民病院の平野裕司先生に、膝痛の原因や治療法について伺いました。
関節リウマチの膝関節
膝痛の原因としては、大きく分けて、関節リウマチや変形性膝関節症などの病気が原因で起こる「炎症による痛み」と「変形による痛み」があります。その他にも、腱などの膝周囲の軟部組織の傷みや腰痛、股関節の病気が原因で起こる膝痛もあります。このように、ひと口に“膝痛”といっても、必ずしも原因が膝関節にあるとは限らないので、まずは整形外科でよく調べてもらうことが大切です。
ちなみに、関節リウマチは、世界的にみると内科の分野で、内科系の先生がよく診ています。しかし、日本では整形外科医もリウマチを診てきた歴史があります。整形外科系のリウマチ科では、関節リウマチを中心とした「リウマチ性疾患」を診療し、必要に応じて人工関節などの手術も行います。
整形外科医がリウマチを診療するメリットは、リウマチだけでなく関節の状態やそれに付随する別の疾患も含めて総合的な診断ができることだと思います。例えば、関節リウマチと診断されている人に膝痛が起きたとき、その原因が関節リウマチではないことがあります。腰痛や関節の軟部組織の傷みが原因で膝痛が起きていることもあるのです。
関節リウマチ
リウマチの場合は疾患が幅広いです。関節リウマチというのは、リウマチ性疾患の代表的な病気であって、その他に
整形外科医の場合、内科と違って手術治療まで行うので、内科的な視点に整形外科的な視点を加えながら、関節の奥の奥までよくみて原因を突き止め、治療を行えることが強みだと思います。
膝痛の診断は、レントゲンによる検査から行います。リウマチ性疾患が疑われる場合は、血液検査、尿検査などの内科的な検査を行います。最近は、エコーを用いた診断が行われることもあります。
関節リウマチの薬物は、免疫抑制剤や生物学的製剤が飛躍的に進歩しています。それらの薬剤を早期から使用し、いち早く炎症を抑えるという治療が一般化しています。それによって関節破壊を起こさないようにするということが可能な時代になっています。つまり、関節リウマチによって膝関節の破壊が進んでいない段階であれば、多くの場合、薬物療法が奏効します。ただ、10年以上前に関節リウマチになっている場合や、合併症などの理由で抗リウマチ薬が使えない場合、残念ながら関節破壊が進んでしまっていることがあります。それによって膝関節の痛みや変形が著しく、生活に支障があるような場合、治療の選択肢として手術があります。
変形性膝関節症5段階
高齢化に伴って、関節リウマチがあるけれども、膝の痛みについては、原因が変形性膝関節症であるという患者さんが増えている印象があります。
変形性膝関節症の原因は、加齢による軟骨の変性や、大腿骨の内顆骨壊死といって突然骨が壊死してしまう病気、あるいは若いときのスポーツ外傷(けが)などがあります。
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