メニュー

専門医インタビュー

生活の質を低下させる“膝の痛み” 早めに専門医に相談し「歩ける膝」を取り戻そう

大槻 康雄 先生

兵庫県

プロフィールを見る

経歴:京都府立医科大学 卒業、京都府立医科大学付属病院、六地蔵総合病院、近江八幡市民病院、済生会京都府病院、京都第二赤十字病院、蒲生町国民健康保険蒲生町病院、明石市立市民病院、京都九条病院、ふくやま病院勤務を経て、令和2年4月より現職
認定医、専門医:医学博士、日本整形外科学会認定専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医
得意分野:ひざ関節疾患

この記事の目次

膝の痛みの原因は年齢や活動度によってさまざまですが、高齢者では変形性膝関節症が要因になることが多いといいます。「治療はまずはリハビリから。重要なのは、膝だけを見るのではなく、体を支える脊椎や体幹の筋肉、股関節や足部の変形など、全身を見てリハビリを行うことです」とアドバイスする大槻 康雄 先生に、手術療法についても詳しくお話を伺いました。

膝関節が痛くなる主な原因を教えてください

半月板

比較的活動性の高い若い年代では、スポーツ活動や家事、仕事といった生活動作がきっかけで膝関節を損傷(使い過ぎや外傷など)し、それが原因で起こる膝の痛みが多く見られます。1回の動作が原因になる場合と、繰り返す動作が原因になる場合がありますが、いずれも、膝関節の安定や衝撃吸収の役割を果たす半月板を損傷しているケースが多いようです。
一方、高齢者の場合は、半月板の損傷に加え、加齢によって軟骨がすり減ることで起こる「変形性膝関節症」が膝の痛みの原因としては一番多いですね。軟骨がすり減ると、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)が直接ぶつかり、水がたまったり関節がグラグラするようになり痛みが出てきます。

どのような診察をして痛みの原因を特定するのですか?

MRI検査画像

MRI検査画像

大切なのは患者さんのお話しをよく聞くことです。どのような動作をしたときに、どこが、どんなふうに痛いのかをよく聞き、目で見て、手で触って、音を聞いて診察します。実際に10m~20m歩いてもらって歩行時の体のバランスを見たり、痛くないほうの足と比較して大きさや腫れなどの確認をすることも重要です。また、レントゲン検査では異常がないのに痛みを訴える場合には、半月板や靭帯の損傷を疑いMRI検査で状態を確認します。
「痛みも違和感もないが膝周囲から音がする」という人は結構多いのではないでしょうか。同じ音でも、様子を見ていい状態と、治療しなければ悪化する可能性のある病的な状態とがあります。そのため一度は整形外科を受診して膝の専門医に判断してもらうほうが安心です。歩行時の癖を直したり、動作時の上手な体の使い方を指導してもらうことで、今後出てくる可能性のある痛みを予防することもできます。

変形性膝関節症にはどのような治療を行うのでしょう

全体のバランスをチェックします。

全体のバランスを
チェックします。

まずはリハビリです。大きく分けて筋力訓練と、筋肉を柔らかくして膝関節の動きをよくするための訓練があります。ここで重要なのは、膝だけではなく全身を見ることです。身体を支える脊椎や体幹の筋肉、股関節の変形や脚の長さの違いなど、膝以外の部位にも膝関節痛の原因があると考えられる場合があるからです。また、膝に原因がある場合でも、軟骨のすり減りやO脚だけが痛みの原因ではありません。歩行時の膝関節の横揺れ(スラスト)による膝関節全体のかみ合わせのズレも大きな要因となります。いずれの場合もリハビリが有効ですから、正しい指導のもと自宅でも頑張って行ってください。画像上では半月板や軟骨の傷みがかなり進行していても、リハビリを継続することで長期間痛みを抑制できている人はたくさんいます。手術適応といわれていた人でも手術を回避された人もいますし、もしも手術となってもしっかりリハビリを行っていると術後の回復が早まるケースも多々あります。
ただし、こういった治療法では効果が得られなかった場合や、患者さんの性格やライフスタイル、今後の生活に求めるものを十分に把握した上で「手術が適切」と判断した場合には、選択肢の一つとして手術をお勧めすることもあります。手術には内視鏡手術、膝周囲骨切り術、人工膝関節置換術があります。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop