専門医インタビュー
福岡県
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膝が痛いと訴える方の多くが、高齢に伴う変形性膝関節症です。高齢化が進む日本では、痛みや違和感などの自覚症状がある方は800万人以上、自覚症状がない方まで含めると実に2500万人以上といわれています。進行の度合いや痛みの出方、さらにその方の生活環境などをみながら、適切な治療法を選択することがポイントとなります。その詳細について、諸岡整形外科病院の諸岡孝明先生にお伺いしました。
膝の痛みの原因にはいくつかの疾患が考えられますが、多いのは変形性膝関節症です。女性が多い傾向にありますが、発症する年齢は40代から90代と幅広いです。
変形性膝関節症は、軟骨がすり減って膝が変形してしまい、痛み・腫れ・炎症などを引き起こしてしまう疾患です。発症のきっかけは様々ありますが、半月板と呼ばれる軟部組織の断裂がその1つであると考えられています。半月板の断裂は、若い世代ではスポーツや事故など外からの衝撃によるものが多くを占めますが、40代以降は年を重ねることで少しずつ自然に傷んでいきます。そうすることで半月板が本来あるべき場所からはみ出してしまい、膝のクッション機能が果たせなくなってしまうのです。このような状態で生活を続けると、膝に過度な負担がかかり、軟骨のすり減りが進行して痛みが生じます。
痛みが継続的に続いていたり、日常生活に支障をきたしているのであれば一度整形外科へ受診されることをお勧めします。受診のタイミングは患者さんによって違っていて、「立ったり座ったりする時に少し痛む」という方から、「激痛で歩くのがつらい」という方まで、その状態はさまざまです。
症状が軽い場合は、受診をすることでご自身の膝の状態を知ることができ、治療を考えるだけでなく、今後の生活について見直す良い機会になります。進行の予防につながることもあります。進行している場合は、その程度に応じた治療をすることができます。痛みのサインを決して見逃さず、よくご自身の膝と向き合ってみてください。
変形性膝関節症のレントゲン
痛い部分のレントゲンは必須ですが、それだけでなく、問診や全体的な所見を併せてみていきます。痛みが強くても変形が思うほど進んでいない場合もあれば、レントゲンでひどい変形が認められても、実際の痛みが軽いというケースもあります。変形や痛みだけでなく、日常生活に支障をきたし困っているという方もいらっしゃいます。患者さんによって痛みや進行状態は異なるため、患者さんに合わせた治療が必要になってくるのです。
基本的には診断を受けてすぐに手術とはなりません。まず保存療法から始めて症状の改善を目指します。しばらく保存療法を試しても改善が見込めない場合は、手術も選択肢に入ってきます。
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