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専門医インタビュー

股関節の痛みは生活の質を大きく落とします 原因と治療法を知って改善を目指しませんか?

時吉 聡介 先生

山梨県

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平成10年熊本大学医学部卒業
認定資格:医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会指導医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本人工関節学会認定医

この記事の目次

 
日常生活の中で、股関節の痛みに悩んでいませんか?中高年に多い変形性股関節症は、実は40~50代といった年代で症状が出る方も多くいらっしゃいます。今回は、貢川整形外科病院の時吉先生に、股関節が痛くなる原因から手術を含めた治療法まで幅広く伺いました。
 

主にどのような症状で悩まれている患者さんが多いですか?

寛骨臼形成不全

寛骨臼形成不全

股関節が痛くて⻑く歩けない、⻑く座っていられない、曲がらない、足の爪切りがしづらい、靴下が履けないなど日常生活での動作が思うようにできないことで悩んでいらっしゃる方が多いです。これらの症状がある場合に、まずは「変形性股関節症」(へんけいせいこかんせつしょう)を考えていきます。変形性股関節症は、関節の中にある軟骨がすり減ってしまい、痛みや炎症を生じる病気です。主に70代以降の女性に多くみられます。
一方で、20代~40代から痛みがある場合、股関節の骨盤側にある寛骨臼(かんこつきゅう)が太もも側の大腿骨頭(だいたいこっとう)を十分に覆えていない「寛骨臼形成不全」を疑います。生まれつきもしくは発育時に寛骨臼が十分に形成されない状態で、動かすたびに股関節の一部に集中的に負荷がかかってしまいます。その結果、股関節がぐらぐらと不安定な状態になり痛みを生じます。そこから軟骨の状態が悪化していくと40~50代という若い段階で変形性股関節症に発展するケースも少なくありません。

股関節が痛む原因として他にはどのようなものがありますか?

股関節の痛み

股関節が原因だと思っていたのに、調べてみたら実は腰が原因だったということも多くあります。腰の病気で代表的な「腰部脊柱管狭窄症」(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、「腰椎椎間板ヘルニア」などは、腰痛に加えて、お尻や太もも、膝といった下肢に痛み・しびれが出ます。高齢になるにしたがって、変形性股関節症と合併していることも多いです。この場合、治療方針などが変わってきますから、股関節だけでなく、その周りの部位もしっかり確認して適切な診断を受けることが大切です。

特に、股関節を深く曲げた時に痛みがあるのですが?

大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)

大腿骨寛骨臼
インピンジメント(FAI)

大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)の可能性があります。これは、寛骨臼側と大腿骨側の骨同士がぶつかることで痛みを生じる病気です。もともとの関節の骨の形態異常などが原因で、長時間歩行した時、深く座っているときなど股関節を曲げた際に痛みが出るのが特徴です。
また、股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)といって、関節にある股関節唇(こかんせつしん)という部分が損傷してしまう病気があります。股関節唇とは、寛骨臼の周りを囲むようについている組織で、大腿骨頭としっかり包み込み、股関節を安定化させ衝撃を吸収する役割りを持っています。その股関節唇が損傷することで、しゃがみ込みやあぐらをかいた時に痛みや引っかかる感じが生じます。スポーツによるケガ、寛骨臼形成不全、FAIなどから発症するといわれていて、将来的に変形性股関節症へと発展するケースもあります。

痛みの原因を総合的に評価することが大切なんですね

股関節の痛みは、基本的にはそのままにしていて改善はされません。そのため、痛みがある段階で一度、整形外科へ受診されることをおすすめします。診察では、どの部分が痛いのかなどをお伺いしながら、股関節の動きを確認します。さらにレントゲン検査で関節の状態を把握し、必要に応じて、CT検査やMRI検査も行います。
診察全体を通して、痛みの原因が股関節からくるものなのか、腰からくるものなのかをしっかりと見分けます。股関節の痛みが原因の場合、それがどの病気からきているのか評価していきます。


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