専門医インタビュー
福井県
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中高年の多くの方が悩むひざの痛み。痛みを我慢しすぎることでさらに症状が悪化し、日常生活に支障が出ます。今回は福井総合病院の尾島先生に、痛みを我慢しないほうがよい理由や、ひざの機能が悪化するサイン、手術方法の一つである人工膝関節置換術について詳しくうかがいました。
ひざの痛み・腫れの原因は大きく分けると「変性疾患」と「炎症疾患」に分かれます。変性疾患で代表的なのは「変形性膝関節症」(へんけいせいひざかせつしょう)です。ひざの軟骨がすり減るために関節が変形するもので、痛みや腫れ、可動域(曲げ伸ばしできる範囲)の低下などが生じます。多くの場合ひざの内側が傷みやすく、O脚が進行するケースも少なくありません。
変形性膝関節症は60代以降の女性に多くみられます。発症の原因としては、外傷、半月板(はんげつばん)、靭帯といった組織の変性から来るものなどさまざまです。中高年の方の場合は明らかな原因がなく、年齢を重ねるにしたがって軟骨が変性し、ゆっくりと変形が進むことが多いです。
関節リウマチ
急性の疾患には発熱や患部の腫れをともなう痛風や偽痛風、感染性関節炎などがありますが、慢性の疾患で代表的なのは関節リウマチです。リウマチは全身性の炎症がひざに及ぶ場合も多く、通常痛みや腫れをともないます。患者さんは50代くらいの、特に女性に多いです。中には変形性膝関節症を合併している方もいらっしゃいます。
このようにひざの疾患はさまざまあり、診察、検査により正しい診断を受けることが大切です。整形外科に受診すると、ひざのどの部分が痛いのか、患部に熱や赤み、腫れはないか、どれくらい曲げ伸ばしができるのかを確認します。またレントゲンやMRI、血液検査などを行うことで、症状の原因が変性疾患なのか炎症疾患なのか、あるいは別の原因なのかを特定できます。適切な治療を選ぶためにも、専門医に相談し、ご自身のひざの状態を知ることをお勧めします。
ひざに痛みがあると、外出や運動をするのがおっくうになりがちです。そのまま身体を動かさなくなると、体重が増えて痛みが増強したり、筋力が低下して可動域が狭くなる可能性があります。痛くて動かない、動かないことでひざが悪化し、さらに動かなくなります。そのような生活が続いて歩行障害が出てしまうと、介護が必要になったり、最悪寝たきりになる場合もあります。骨や軟骨、筋肉といった運動器の障害のために、移動機能が低下する状態をロコモティブシンドローム(ロコモ)と呼んでいます。厚生労働省が2019年に実施した調査によると、要支援・要介護の原因として、運動器障害(関節疾患、骨折・転倒)は24.8%に及ぶことが明らかになりました。高齢化社会が進む昨今、自分らしい生活を長く続けていくためにも、ロコモ対策を行うこと、まずは痛みを我慢せず積極的に治療を行うことが大切です。
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