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専門医インタビュー

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この記事の目次

60歳以上の女性の3人に1人に認められるといわれる外反母趾。聞き慣れた身近な疾患ですが、意外とその詳細は知られていないことが多いようです。「外反母趾を放置すると、変形が進行することはあっても、自然治癒することはありません。外反母趾の変形や痛みが原因で、身体の他の部位に影響が出ることも考えられます。症状があれば我慢せず、早めに専門医に相談して、正しい診断と適切な指導を受けるようにしましょう」とアドバイスする田中康仁先生に、効果的な保存療法や豊富な手術方法などについてお話をうかがいました。

足の親指やその周辺に痛みを感じる疾患にはどのようなものがありますか?

足関節のしくみと外反母趾

巻き爪や痛風、関節リウマチ、強剛母指(きょうごうぼし・中足趾節関節(MTP関節)に生じる変形性関節症)などがありますが、罹患者数の多さからいっても代表的な疾患は外反母趾だといえるでしょう。外反母趾とは、足の親指(母趾)が人差し指(第2趾)に向かって曲がり、親指の付け根の関節が突き出した状態のことです。そのため、靴を履いた時などに擦れたり圧迫されたりして痛みを感じるようになります。また、外反母趾になると親指に力が入らなくなるため、他の指に負担がかかります。特に一歩目を蹴り出す時の負担が大きく、それを繰り返すことで足の裏にタコができ、痛みの原因となります。さらに、症状が進行して親指が人差し指や中指(第3趾)の下に潜り込むと、人差し指や中指が横からみて「く」の字に曲がるハンマートウとなり、曲がった部分が靴に当たってタコができ、強い痛みが出ることもあります。男女比は1:10と圧倒的に女性に多く、60歳以上の女性の3人に1人に外反母趾が認められるといわれています。

外反母趾を発症する主な原因は何ですか?

発症の原因には、外的要因と内的要因(解剖学的要因)があります。外的要因は、先の細い靴や、かかとが高い靴を履くことによる生活習慣です。先が細い靴は親指が小指側に圧迫されることで、かかとの高い靴は先端に向けて足が滑り落ち、足指が靴先で押さえつけられることで、変形しやすくなります。また、かかとの高い靴を履いて親指の付け根にあるMTP関節が背屈する(上を向く)と、関節を支えている側副靭帯(そくふくじんたい)がゆるみ、外反母趾がさらに進行しやすくなります。長時間靴を履くことで足の指の筋力が低下することも要因の一つです。内的要因は、外反母趾になりやすい足であるということです。親指が人差し指より長い人や偏平足の人は、外反母趾になりやすいといわれています。遺伝的要素のある人は10代など、若くして発症することもあるので、お母さんやお祖母さんが外反母趾の場合は、ご自分も足の指の変化に注意するようにしましょう。しかし、外反母趾を発症する人の多くは特に原因が見当たらない特発性で、加齢による筋力低下や、長年の変形の蓄積などによって発症することが多いようです。

外反母趾と診断されたら、どのような治療から始めるのですか?

足の指の間に手の指を入れ、やさしくにぎって伸ばします

親指がどれだけ外を向いているかを測る角度を外反母趾角といいます。レントゲン画像で外反母趾角が20度未満は正常、20度~30度未満は軽症、30度~40度未満は中等症、40度以上は重症と分類されます。しかし、変形の程度と痛みは必ずしも一致しません。変形の程度に関わらず、痛みがある場合に治療を行います。
治療はまず、足の指の体操(ストレッチ)や足底挿板、靴の指導といった保存療法から始めます。足の指でグーとパーを作る体操は、親指を支えている母趾外転筋(ぼしがいてんきん)という筋肉を鍛えるのに効果的です。軽症~中等症であれば変形や痛みの改善が期待できます。また、足の指が硬くなる拘縮が起きると痛みが持続するので、足を柔らかく保つことも重要です。お風呂上がりに手の指と足の指で握手をするような形で足の指を開いたり、内側に曲がっている第1中足骨を押さえながら親指をつかんで人差し指と逆方向へ伸ばすストレッチは、親指の付け根の関節が亜脱臼している中等症以上の人の痛み軽減や、筋力強化にも効果があるといわれています。

外反母趾角重症度

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