専門医インタビュー
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若い頃は何ともなかったけれど、歳をとるにつれ、立ち上がるだけで膝に痛みを感じる人は多くいるのではないでしょうか?変形性膝関節症は加齢とともに発症する病気です。関節軟骨の内側がすり減っていくことで、脚がO脚に変形していきます。変形性膝関節症の原因の多くは、「肥満」、「太ももの筋力低下」、「歩き方」によるものです。「人工膝関節置換術は最後の手段です。手術を受ける前に、もう一度自分の膝と向き合ってみませんか?」と話す、膝の専門医である一宮西病院 整形外科部長 兼 人工関節センターセンター長の巽一郎先生に詳しく教えていただきました。
変形膝関節症のX線。軟骨がなくなり、大腿骨と脛骨がくっ付いています
大腿骨と脛骨の間に位置する膝関節は、軟骨というクッションに守られて、立つ・座る・歩くという動きをスムーズにしています。その軟骨が年齢とともにすり減り、硬い骨同士が直接当たることで骨が微小骨折を起こすと、痛みが出てきます。これが変形性膝関節症の始まりです。レントゲンを撮ってみると、軟骨部分がなくなり、大腿骨と脛骨がくっついているのが分かります。微小骨折が何度も起こると、骨が硬くなり、レントゲンには白く写るようになります。軟骨がすり減っていても、微小骨折が起こらなければ痛みは出ないため、かなりのO脚で明らかに膝が悪そうな人でも、中には痛みなく平気で動いている人もいます。変形性膝関節症には女性の患者さんが多いといわれていますが、当院に訪れる変形性膝関節症の患者さんも6対4で女性の方が多いですね。女性はある年齢を境に、骨の質がぐんと落ちます。骨粗鬆症もその一つで、閉経後にホルモンの関係で骨質が保たれにくい女性は、男性に比べて変形性膝関節症にかかりやすいと思われます。
手術を検討する前に、まずは3つの保存療法「体重を落とす」、「大腿四頭筋を鍛える」、「膝に負担をかけない歩き方をする」を頑張ってもらいます。初診の患者さんとご家族には、「手術をする前に、あと3カ月間、痛みを取る方法を試してみましょう」といっています。患者さんの年齢は、90歳以上の人もいますし80代半ばがほとんどですから、手術をしないで済むなら、それに越したことはありません。この3つを3カ月間続けて痛みが改善した人は、さらに半年間続けてもらいます。痛みがあまり減らなかった人は人工膝関節置換術となりますが、3カ月間保存療法を続けた結果、ある程度筋肉がついているので、術後の回復もスムーズにいくのです。
まずは、次の3つの保存療法を3カ月間頑張って続けてください!
大腿四頭筋を鍛えるトレーニング
まず「体重を落とす」ですが、私たちが歩いている時に、膝の内側には体重の5倍の重さがかかっています。階段を降りる時には、8倍もの重さがかかります。ですので、5キロ痩せれば、膝にかかる力は25~40キロも減ることになります。微小骨折を起こす原因は体重ですから、体重を下げることが膝関節を守る第一歩です。次に、「大腿四頭筋を鍛える」ですが、太ももの筋肉が衰えないように、毎日体操をしてください
と話しています。患者さんの中には、膝の痛みを軽くするためにサポーターなどを装着するように指導された人もいるでしょう。しかし、装具をつけていると確かに膝が痛くならずに楽に歩けるのですが、筋力が落ちてしまいます。自分の筋肉で膝を支える、このことを毎日意識していれば膝の痛みは軽くなるはずです。最後に「膝に負担をかけない歩き方をする」ですが、歩き方の癖が膝に負担をかけているために、痛みが出ていることがよくあります。膝に負担をかけない歩き方を心がければ、痛みは必ず軽くなります。具体的には、O脚変形の人はかかとで踏み出し、親指に力を入れて小指は浮かすように着地してください。また、あごを引くことを忘れないでください。頭から歩くと背中が丸くなって骨盤が傾き、脚が開いて小指に力がかかって、O脚になりやすくなってしまいます。あごを引いて「かかと→親指」と意識して歩く癖をつければ、O脚を防ぐことができます。
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