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専門医インタビュー

この股関節の痛み、本当の原因は何?専門医への受診で長年の痛みが解消するかもしれません。

大阪府

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大阪大学医学部卒業。大阪大学附属病院、大阪府立病院、大阪大学整形外科講師、大阪厚生年金病院整形外科部長などを経て、平成20年に増原クリニックを開設。

この記事の目次

高齢化に伴い、脚の付け根や太もも、膝などに痛みを抱えている人が増えているといいます。しかし、その痛みの本当の原因が正しく判断されず、「通院しているのに、なかなか痛みが取れない」と悩んでいる人も多いようです。日本は世界に冠たる長寿国ですが、やはり、健康であっての長寿でありたいもの。「股関節が原因で生活は家の中だけでは、残りの余生がもったいないですよ」と語る、股関節の専門医・増原クリニック院長の増原建作先生に適切な治療を受けるためのポイントなどについてお聞きしました。

股関節に障害がある人の中には、適切な治療に結びついていないケースがあると聞きます。

股関節だけではなく、腰や
太ももなどに痛みを感じる
こともあります

股関節の障害が痛みの原因であっても、必ずしも股関節に痛みが生じるというわけではありません。股関節の周囲には神経が走っているため、「関連痛」として太ももや膝に痛みを感じることがあります。また、腰が悪いために起こる神経痛として捉えられてしまうことも少なくありません。このような場合、レントゲン写真の撮影やその後の治療は太ももや膝、腰が中心となってしまうため、肝心の股関節の治療に結びつかず、いつまで経っても一向に良くならないという結果になってしまうことがあるのです。逆に、腰の状態が悪い人や脚の血行が悪い人の中には股関節周囲の痛みや痺れを訴える人もいますので、まずは痛みの本当の原因を正しく突き止め他の疾患と識別することが大切です。そのためには、やはり専門医を受診することが重要といえるでしょう。「大きな病院は待ち時間が長く、敷居も高い」と思われる人は、「股関節」や「腰」を専門領域としている専門性の高いクリニックを受診するといいでしょう。

女性に多いといわれる「変形性股関節症」の主な原因は何でしょうか?

変形性股関節症のX線。筋力が落ちるとジワリジワリと股関節が潰れていきます

日本人の場合、「生まれつき」もしくは「骨がしっかりと成長しなければいけない時期に骨の発育が不十分であった」ことが原因で、股関節の形状に異常を持った人がいます。若い頃は筋力もあり骨や軟骨も瑞々しいため、大きな支障を感じないで過ごすことができますが、年齢とともに筋力が落ちていくと和式の生活や坂や階段の多い生活環境といった様々な要因が積み重なり、ジワリジワリと股関節が潰れていくというケースが多いようです。一方で欧米人の場合は、骨の発達がしっかりしているため股関節の形状に弱点を持った人は少ないのですが、体格が大きく体重が重いことが主な原因となって股関節が潰れていくケースが多いようです。ところが近年、股関節の形は悪くないのに欧米人のような股関節の潰れ方をする患者さんが日本でも増えてきました。これは、食生活の変化などにより、体格が大きく体重が重くなったことが原因だと考えられます。過度の肥満は腰や膝に悪影響を与えますし、いろいろな身体トラブルの元凶にもなります。体重コントロールには十分に気をつけるようにしてください。

変形性股関節症の治療方法を教えてください。

治療方針決定のフローチャート

股関節の変形の度合いがまだ少なく潰れ方が軽度の場合は、まずは保存療法を行います。痛みが強い場合は薬でおさえ、ある程度痛みが落ち着けばリハビリで筋肉の回復を図ります。正しいリハビリを適切に行えば、身体の動きや活動性をかなり回復させることができます。ただし、体重の過度の増加は禁物です。肥満傾向の人には厳しく減量を指導していきます。保存療法で経過を見ても明らかに症状が進んでいる「進行期」、あるいは軟骨がほとんど摩耗してしまった状態の「末期」の患者さんには、やはり手術以外での対応は難しいですね。症状が進行期の場合は股関節を矯正する「骨切り術」、末期の場合は股関節を人工の関節に置き換える「人工股関節置換術」を検討します。この人工股関節置換術は、今や非常に身近で一般的な手術となっています。股関節の一部を置換する「人工骨頭置換術」も含めると日本全国で年間10万件以上の手術が行われており、良好な術後経過が報告されています。


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