専門医インタビュー
80歳以上の高齢でも、健康でまだまだ歩きたいという気持ちを持っている人なら、人工股関節置換術を受けることは可能です。手術を安全に行うために、患者さんには血液検査や心電図など、手術に耐えられるかどうかの検査を受けてもらいます。また、服用している薬をすべて教えてもらうことと、かかっている診療科があれば、私はその先生に手紙を書いて、患者さんの状態を確認しています。特に心臓の病気はないかを確認。さらに、歯科と皮膚科を受診してもらい、もし虫歯や歯周病、水虫などがあれば治療を始めてもらいます。これは人工関節を入れた後、患者さん自身の体内に潜んでいる菌からの感染を防ぐためです。
3D術前計画 ソケット
3D術前計画 ステム
3D術前計画 完成図
手術の前に、私たち医師がしておくこともあります。それは、患者さんのCTを撮り、そのデータをコンピューター上で解析し、股関節の3Dを作成します。これにより詳細な形状を把握することができ、3Dでの術前計画を行っています。例えるなら家を作るときの、設計図ですね。
人工股関節は4つの部分からなっています。大腿骨に埋め込む金属のステム、丸いお椀のような形をした臼蓋側に埋め込むのがソケット、そして大腿骨頭に当たるセラミックで出来たヘッドとそれを包み込みクッションの役割をするのがプラスチックでできたライナーと呼ばれるものです。患者さん一人ひとり骨の大きさや形が違います。そのため3Dソフトで作成した設計図に基づいて、その患者さんにあった人工股関節を選択しています。コンピューターシミュレーションで人工股関節を正確な位置に挿入するためには、どこを削って、どんな角度で入れていくか、その方法はどうするか、頭の中で手術を5回くらい予行演習するという感じになります。
手術中は作成した設計図、つまり術前計画の画像を手術室の大画面に写し出し、それに沿って手術を行っています。
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