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専門医インタビュー

手術前も、手術後も習慣づけよう!正しい歩き方の練習と筋力強化

この記事の専門医

菅 寛之 先生

京都府

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日本整形外科学会 整形外科専門医、日本リハビリテーション医学会 認定臨床医、日本体育協会公認スポーツ指導者、医学博士

この記事の目次

手術前も手術後も、ポイントはリハビリ


筋力の回復を目指して、リハビリの指導には力を入れています。
リハビリ室に慣れてもらう意味もありますが、家でも毎日できるように、習慣づけてもらうために受診した患者さんには指導を続けています。
何年もかけて固まってしまった筋肉は、機械を使って時々曲げ伸ばしをするくらいでは柔らかくなりません。膝のお皿の周りの筋肉をほぐし、膝の裏を柔らかくして伸ばす練習をします。
このやり方を理学療法士が教えてくれます。
入院中にも病棟で、膝周りの筋肉を柔らかくするリハビリを自分で行うのです。手術がいくらきれいにできても、筋肉が柔らかくならないと膝は十分に動きません。
自分の努力で、まじめにリハビリをした人ほど回復がいいし、満足度が高いのは間違いありません。
手術後48 時間以降に、リハビリ室での訓練を開始しますが、手術の翌日には自分の足で、歩行器につかまって部屋や廊下を歩いてもらいます。エコノミークラス症候群を避けるためです。弾性ストッキングや抗凝固剤を使用、足関節を動かすなどの対応で、当院では今までエコノミー症候群の発生はありません。
入院期間は平均3 週間。自分の家で不自由なく動けるように、その人に合った練習をしていきます。
階段の昇降、段差をこえる練習、スロープを歩く練習などをして、家の中 や周囲を、自由に自分で歩けるようになるのが退院の目安です。
リハビリは一生続けてください。リハビリの重要性を理解してもらえるように、自分の家でもリハビリ室と同じセルフエクササイズを継続してもらえるように指導しています。
退院後は1 カ月で受診、人工膝関節に緩みがないか、うまく使えているかなどをチェックします。問題がなければ、半年おきくらいに定期的に確認のために受診してもらいます。

手術後の患者さんの変化を教えてください

外来診察室 処置室

手術をした後に皆さんが言われるのは、「行動範囲が広くなった」「長く歩けるようになった」「手術したことを忘れている」「海外旅行に行けた」ということです。
「周りの人に、歩き方がきれいになったと褒められてうれしい」と喜ぶ人もたくさんいます。
O脚でも、見かけはどうでもいいと思っていたという人も、手術後に鏡の前で歩いてみると、その歩き方の違いがよくわかって、うれしそうな笑顔になっていますね。
走ったり飛んだり、強くひねるような動作は避けたほうがいいし、正座もあまり勧めません。
とはいえ、その年齢の人がする普通のことなら、何をしても大丈夫。人工膝関節は、15年以上は問題なく使えるし、今は、一生ものと言われています。
肥満には注意して下さい。車のタイヤがすり減るのと同じです。でも、使わないと意味がありません。
ウオーキング、ゴルフ、ハイキング、水中歩行、自転車など、普通の生活の中でできないことはありません。
膝をついたりしない洋式の生活にしたほうがいいとは思いますが、筋力がしっかりしていれば和式のトイレもできるでしょう。

患者さんへメッセージをお願いします

菅 寛之 先生

出来るだけ手術は受けたくないという人も多いでしょう。初期の段階から適切に治療をすれば、手術しなくても十分保存療法でコントロールできることもあります。
でも、いたずらに延ばせば徐々に関節の拘縮や筋力低下が進行します。膝が曲がらなくなってから、人工膝関節置換術をしても成績が悪くなります。
痛いし、日常生活が制限された状態で生活をしていても楽しくないと思います。最期まで他人の世話にならない、自分の足で動けることを目指してください。
人工膝関節置換術は、特殊な手術ではありません。一般的な整形外科の手術の一つ、骨を切るなどの機械が進歩しているので、膝以外の専門の医師でも行うことができるものです。そうはいっても、慣れた医師のところで正しい情報をたくさん教えてもらうことが大事だと思います。
骨の痛みと炎症は手術をすればよくなりますが、長い年月をかけて硬くなった関節の痛みが取れるには、時間がかかります。それでも、正しいリハビリを続ける努力次第で必ず軽くなります。正しい歩き方と肥満解消、骨が弱くならないように注意して、膝の痛みを解消しましょう。


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