専門医インタビュー
奈良県
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変形性股関節症のレントゲン
コンピュータによる手術支援システムの一つです。手術前にCT撮影を行い、患者さんの股関節の状態をコンピュータに取り込み、その患者さんにあった人工股関節の大きさやデザイン、設置位置、設置角度、骨移植や骨棘切除の量などをシミュレーションし、入念な術前計画を立てます。左右に脚長差がある場合はどのようにすれば揃えられるか、人工股関節を設置した後にどの程度の可動域が得られるかも事前にシミュレーションすることができます。
術前計画通りに手術を行うために、ナビゲーションシステム支援のもと正確な位置に人工股関節を設置することは、術後の耐久性や可動域、脱臼予防にも大きく影響するためとても重要です。ナビゲーションシステムは、それを的確にサポートしてくれ、術後の脱臼はまったく経験していません。
手術は後側方アプローチで傷口も小さく(約7センチ)、筋肉もほとんど傷つけないMIS(最小侵襲手術)で1時間~1時間半程度行っていますが、以前と比べると出血量はかなり少なくなっていますね。止血剤や止血用の特殊な器具を使うことで、出血量が大幅に低減しています。当然、貯血も輸血も必要ありません。出血量が少ないと術後の痛みも少なく、身体的負担が軽いため、術後の体力低下を起こさずに済むので、患者さんにとっては大きなメリットです。
高齢者でも大変お元気で、早期リハビリ、早期回復を可能にしています。
また、合併症として特に問題になるのが感染症であり、患部に出血した血液をためないことが重要ですが、出血量が少ないことが感染症予防にもつながっています。
手術翌日には歩行器を使ってリハビリ室に移動してもらい、歩行練習を開始します。骨強度の高い人では、1週間で杖をついて歩けるようになる人もいます。ただし、骨粗しょう症が進んで骨が弱くなっているような人は、少しゆっくり目のリハビリを行います。入院期間は通常2週間~3週間。階段の昇降や、掃除・洗濯・炊事といった家事一般は行える状態で退院となります。
退院後は、定期的に診断や検査を行い、人工関節の緩みや摩耗といった変化が起きていないかを確認します。どんなに調子が良くても、人工股関節と長く上手に付き合っていくためには、定期的な診断や検査は欠かせません。
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