専門医インタビュー
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変形性膝関節症のX線画像
変形性膝関節症は、原因によって一次性と二次性とに分けられます。患者さんの多くは、明らかな原因が不明である一次性変形性膝関節症です。二次性変形性膝関節症は、靭帯損傷や骨折などの膝の怪我、また、痛風、偽通風、糖尿病や感染症などの病気が原因となることもあります。痛風では、尿酸ナトリウムの結晶が膝の腫れの原因となり軟骨を傷つけ、変形性膝関節症を引き起こします。糖尿病や梅毒が進行すると、神経に障害が起こり痛みを感じにくくなるため、関節がひどく破壊されてしまいます。気づいたときには関節の変形がかなり進んでしまっていることが多く治療に難渋することがあります。
前十字靭帯損傷のMRI画像
変形性膝関節症の患者さんは、女性のほうが多いですね。その理由はいくつか考えられていますが、靭帯損傷や骨粗鬆症も女性のほうが起こしやすいことも知られており、女性ホルモンによる代謝の変化が軟骨や骨、靭帯などを弱くする主な原因の一つではないかと考えられています。また、膝の形にも男女の違いがあり、膝を安定させるために重要な膝周囲の筋力も女性の方が劣るようです。膝の形や筋力が異なることで、日常生活やスポーツでの膝の使い方でも男女の違いが生じ、女性の方が軟骨や靭帯を痛めやすいようです。靭帯損傷を放置すると二次性の変形性膝関節症になる可能性も高くなりますので、靭帯損傷が疑われたら早めに膝の専門医を受診し、変形性膝関節症になる前に治療を開始することをおすすめします。
変形性膝関節症治療の考え方
変形性膝関節症の場合、痛みと膝の変形は必ずしも相関しておらず、「変形が進んでいるから痛い」わけではありません。変形があまり強くなく、痛みは強いという患者さんには、手術よりも保存的治療を優先して行っています。体重が重い患者にはまず減量の必要性を説明します。必要に応じて栄養指導を行いご自身で体重を減らす努力をしていただきます。変形性膝関節症の保存的治療で最も重視されるのは膝周囲や骨盤の筋力トレーニングです。歩き方の指導も大切です。さらに履物のチェックも行い、必要に応じて傾斜をつけた中敷きを作製します。内側への荷重を防ぐため、支柱のついた装具を膝につけてもらう場合もあります。筋力トレーニングを継続し歩行を改善するためには、疼痛を軽減する必要があり、必要に応じて鎮痛剤の投与を行います。炎症を抑える目的の薬剤や慢性的な痛みを抑える目的の薬剤など、近年は「膝の痛み」に対する鎮痛剤にもさまざまな種類があり、鎮痛剤の使い分けについても膝の専門医に相談することをおすすめします。また当院では、元来膝の関節液に含まれることから副作用がほとんどなく、軟骨を保護し炎症を抑える働きがあることが知られているヒアルロン酸ナトリウムの膝関節内への注射を積極的に行っています。さらに2019年3月からは、自分の血液の一部を濃縮・加工して膝関節内に注射することで比較的長期間、炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できる次世代のPRP(多血小板血漿)治療である「APS療法」を導入致しました(全額自己負担)。
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