メニュー

専門医インタビュー

「膝の痛み」は奥が深い。治療やリハビリしっかり膝専門医と相談を

この記事の専門医

黒河内 和俊 先生
  • 黒河内 和俊 先生
  • 重工大須病院 院長
  • 052-212-8981

愛知県

プロフィールを見る

平成2年 名古屋大学医学部卒業、平成6年 名古屋大学大学院医学研究科博士課程、平成10年 米国ペンシルバニア州立大学医学部、平成11年 日本学術振興会特別研究員、平成12年 三菱名古屋病院整形外科部長、平成23年 三菱名古屋病院副院長、平成30年 重工記念病院副院長/整形外科・関節鏡センター長、日本整形外科学会(専門医)、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(評議員、関節鏡技術認定医)、日本スポーツ協会公認スポーツドクター 他

関連するキーワードから探す

この記事の目次

膝痛の原因として最も多い変形性膝関節症の原因を教えてください

変形性膝関節症のX線画像

変形性膝関節症のX線画像

変形性膝関節症は、原因によって一次性と二次性とに分けられます。患者さんの多くは、明らかな原因が不明である一次性変形性膝関節症です。二次性変形性膝関節症は、靭帯損傷や骨折などの膝の怪我、また、痛風、偽通風、糖尿病や感染症などの病気が原因となることもあります。痛風では、尿酸ナトリウムの結晶が膝の腫れの原因となり軟骨を傷つけ、変形性膝関節症を引き起こします。糖尿病や梅毒が進行すると、神経に障害が起こり痛みを感じにくくなるため、関節がひどく破壊されてしまいます。気づいたときには関節の変形がかなり進んでしまっていることが多く治療に難渋することがあります。

変形性膝関節症に男女差はありますか?

前十字靭帯損傷のMRI画像

前十字靭帯損傷のMRI画像

変形性膝関節症の患者さんは、女性のほうが多いですね。その理由はいくつか考えられていますが、靭帯損傷や骨粗鬆症も女性のほうが起こしやすいことも知られており、女性ホルモンによる代謝の変化が軟骨や骨、靭帯などを弱くする主な原因の一つではないかと考えられています。また、膝の形にも男女の違いがあり、膝を安定させるために重要な膝周囲の筋力も女性の方が劣るようです。膝の形や筋力が異なることで、日常生活やスポーツでの膝の使い方でも男女の違いが生じ、女性の方が軟骨や靭帯を痛めやすいようです。靭帯損傷を放置すると二次性の変形性膝関節症になる可能性も高くなりますので、靭帯損傷が疑われたら早めに膝の専門医を受診し、変形性膝関節症になる前に治療を開始することをおすすめします。

変形性膝関節症にはどんな治療法がありますか?

変形性膝関節症治療の考え方

変形性膝関節症治療の考え方

変形性膝関節症の場合、痛みと膝の変形は必ずしも相関しておらず、「変形が進んでいるから痛い」わけではありません。変形があまり強くなく、痛みは強いという患者さんには、手術よりも保存的治療を優先して行っています。体重が重い患者にはまず減量の必要性を説明します。必要に応じて栄養指導を行いご自身で体重を減らす努力をしていただきます。変形性膝関節症の保存的治療で最も重視されるのは膝周囲や骨盤の筋力トレーニングです。歩き方の指導も大切です。さらに履物のチェックも行い、必要に応じて傾斜をつけた中敷きを作製します。内側への荷重を防ぐため、支柱のついた装具を膝につけてもらう場合もあります。筋力トレーニングを継続し歩行を改善するためには、疼痛を軽減する必要があり、必要に応じて鎮痛剤の投与を行います。炎症を抑える目的の薬剤や慢性的な痛みを抑える目的の薬剤など、近年は「膝の痛み」に対する鎮痛剤にもさまざまな種類があり、鎮痛剤の使い分けについても膝の専門医に相談することをおすすめします。また当院では、元来膝の関節液に含まれることから副作用がほとんどなく、軟骨を保護し炎症を抑える働きがあることが知られているヒアルロン酸ナトリウムの膝関節内への注射を積極的に行っています。さらに2019年3月からは、自分の血液の一部を濃縮・加工して膝関節内に注射することで比較的長期間、炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できる次世代のPRP(多血小板血漿)治療である「APS療法」を導入致しました(全額自己負担)。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop