メニュー

専門医インタビュー

手術をした日が第2の誕生日 スムーズな動きを作り出すスタート地点

この記事の専門医

小林 貴幸 先生

長野県

プロフィールを見る

出身大学 卒業年:自治医科大学 平成16年卒
専門領域:関節外科・リハビリテーション
資格・所属学会:日本整形外科学会 整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医・リウマチ医・運動器リハビリテーション医、日本人工関節学会、日本リハビリテーション医学会

この記事の目次

どのようなリハビリが行われるのですか?

みなさん驚かれますが、昔は手術後1カ月間安静にしていたと聞きます。しかし今はそういう施設はないでしょう。長期間寝たままでいると筋力が落ちるだけでなく、血栓症の心配もあるので、早い段階からリハビリを開始するようにしています。もちろん手術の痛みはあるのですが、痛み止めの方法も進歩しています。新しい薬や情報、いいものは全て取り入れて、不快な痛みは出来る限り取り去るようにしています。
具体的には、翌日には立つ、体を起こして歩きだします。立って、体重をかけて歩くのがリハビリの基本。理学療法士が患者さん一人ひとりにマンツーマンでついて、その人に合った適切な負荷と、経過に合わせた動き方を指導します。
膝の手術をした人は、杖で安定して自信を持って歩けるようになったら退院。膝はひたすら曲げ伸ばしをして歩く練習を続けます。高齢でもう少し力をつけたい、長期のリハビリを望む人にも対応しています
股関節の場合、骨がもろかったり、骨移植が必要だった人は、1カ月間は体重をかけるのを制限する場合もありますが、それは例外です。人工股関節の宿命は脱臼です。脱臼のリスクとなるような姿勢、深く曲げてひねるような動きはしてはいけないという、その指導が大切になります。入浴の仕方、衣服の脱ぎ着などの時に、こういう風にするといい、注意点と練習します。膝にはない特徴です。
でも、リハビリには終わりがありません。継続してやりたいことをするのがリハビリになります。

退院後に気を付けることはありますか?

患者さんからのお礼状

患者さんからのお礼状

中には一生懸命動きすぎて、無理しすぎてしまう人がいます。急に使い過ぎないように、徐々に慣れて下さい。膝は半年から一年もたてば腫れも治まり、傷跡も残っていない状態で、違和感がなくなります。股関節の場合はもっと早くから、手術した事を忘れてしまうくらい調子がいい人もいらっしゃいます。
そのくらい時間が経てば、基本的には、してはいけないことは特にありません。やりたいことをすればいい、むしろどんどん動いて下さい。
人工膝関節の手術をした人の中には、手術する前より活動量が増えて、旅行やハイキングなど、それまで出来なかったことをどんどんしている人がたくさんいます。
手術後10年くらいは何事もなく、いい調子で自分の関節を作り上げていくことができるでしょう。しかし、20年、30年と長い年月が経つうちに、インプラント周辺で骨折を起こしたり、感染して人工関節が緩んでしまったりということが起こることもあるかもしれません。稀ですが、ゼロではないのです。でも、異変にいち早く気付いて適切な対応をすれば、大事にならずに済みますから、定期的に受診してチェックを受けて下さい。
何事もなく、ずっと人工関節を使いこなしていけるように。人工関節を入れた日が第2の誕生日だと思って、毎年手術をした月に、必ず健診に来てもらいます。医師と患者さんは、一生のお付き合いになります。

思っていることは全て医師に相談しましょう

小林 貴幸 先生

手術を提案されても、怖い、不安だと思うのは当たり前の感覚です。痛みを我慢しないのと同じように、不安も隠さずに、思っていることはすべて医師に伝えて下さい。話をしていく中で、その人にとってふさわしい方法が見つかると思います。手術を決めて受診してきた人でも、もう一度医師と患者さんとの信頼関係をじっくり作って、十分に話をしていきたいと思っています。
手術を決めたら、その後はすべて医療者にお任せ、きっとよくしてもらえるだろうという考えはよくありません。人工関節手術は、スムーズな動きを作り出すスタート地点です。私はより良いスタート地点を築くために最大限の努力をします。一緒に頑張りましょう。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop