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専門医インタビュー

人工股関節は、若い患者さんからご高齢の患者さんにも向いている手術。整形外科を受診して、自分にあった情報を手に入れてください

川崎舎 俊一 先生
  • 川崎舎かわさきや 俊一 先生
  • 公立福生病院 整形外科診療部 医長
  • 042-551-1111

東京都

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日本整形外科学会整形外科専門医

この記事の目次

人工股関節の手術は、非常に進歩しています。ところが、初期の頃の古い情報や自分の状態に合っていないさまざまな情報に振り回され、迷われている人も多いようです。公立福生病院の川崎舎俊一先生は、「(人工股関節置換術は)40 代の若い人から 90代の高齢な方、合併症があり手術を受けられなかった方まで手術が受けられるほど進歩している」と話します。人工股関節を中心に、変形性股関節症の治療について伺いました。

40代、50代で起こる股関節の痛みの原因は何ですか?

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全

股関節の痛みの原因としては、変形性股関節症、大腿骨頭壊死、関節リウマチ、最近、注目されている関節唇損傷などがあります。
この中で、最も多いのは変形性股関節症です。股関節というのは、骨盤側の骨が受け皿のような形をし、そこに球状の大腿骨頭がはまり込んでいます。この部分がさまざまな原因で変形や破綻を来している状態が変形性股関節症です。
日本人の変形性股関節症の8割くらいは、もともと骨盤側の骨のかぶりが浅い臼蓋形成不全が原因となり発症しています。臼蓋形成不全があると股関節が不安定になり、クッションの役割をしている軟骨がすり減り、骨が変形してしまうのです。そのため、変形性股関節症は、70代、80代くらいの高齢女性に多い病気ではあるものの、40代、50代でも発症し、中には40代ですでに末期の変形性股関節症というケースもあります。
また、年齢を重ね骨がもろくなり、そこに体重増加などで股関節に負担のかかる要因が加わり、変形性股関節症が一気に進んでしまうということもあります。

生まれつき変形性股関節症になりやすい人がいるのですか?

関節唇損傷

関節唇損傷

臼蓋形成不全と同じように、生まれつき骨盤側の骨のかぶりが深すぎたり、変形していたりする人もいます。その場合に多いのが、股関節を安定させている関節唇という線維性の軟骨が傷む関節唇損傷です。しゃがみ込む動作や、激しい運動をするスポーツ選手に起こりやすいことがわかっており、痛みをそのまま放置してしまうと股関節の変形が進んでしまうことがあります。若い人にも起こりやすい股関節の痛みです。
また、股関節痛は、股関節そのものに原因がある場合だけでなく、腰が悪い場合も股関節のあたりに痛みが出ることがあります。

変形性股関節症の治療について教えてください。

変形性股関節症のレントゲン

変形性股関節症のレントゲン

股関節に痛みを感じて初めて整形外科を受診し、それまで何も治療を受けていない場合、さらに、それほど股関節の変形が強くない場合は、薬物治療や筋肉トレーニングなどの保存療法から始めます。一方、すでにいろいろな治療を受けたけれども痛みが改善しないという人の場合は、次の治療手段として手術を提案します。
私の場合は、まず、患者さんに、今の痛みがどのくらいで、どんなふうにつらいと感じているのか、痛みの程度や困っていることを詳しくうかがいます。例えば、痛みの感じ方は人それぞれですし、同じ痛みの強さを感じていても外出や旅行が好きで活発に活動される人は、動くたびに痛みを感じるので、痛くてつらいでしょうし、家の中で静かに過ごすのが好きな人は、動くことが少ないので、それほど痛みが気にならない場合もあります。常に痛くてつらい、常に痛いわけではないが、痛みが原因で好きなことができない、なんとかしたいという人は、手術は改善策になると思います。


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