専門医インタビュー
痛みに関しては、手術前の股関節の変形の程度によって、かなり違います。やはり、変形がひどく、股関節の拘縮が見られるような末期の状態になってから人工股関節の手術を行うと、靭帯や筋肉、骨などに侵襲的な行為をせざるを得ないケースが多いので患者さんに負担がかかります。筋力も落ちているので回復が遅くなり、術後の痛みも改善するまでに時間がかかることがあります。そう考えると、手術のタイミングはあまり遅らせないほうがいいと思います。変形や痛みが軽度なうちなら、筋力もあり、股関節の組織もあまり傷めることなく手術を行うことができ、術後も早い回復が期待できると思います。
もちろん受けられます。例えば、当院は総合病院ですので、糖尿病や脳梗塞など既往のある人に人工股関節置換術を行う場合、他の診療科のバックアップを受けながら治療を行っていきます。糖尿病で血糖値コントロールがうまくいっていないような患者さんは、手術前に内科で診てもらい、血糖値コントロールをしてもらってから人工股関節の手術を行うことがあります。しかし、あまり時間に余裕がなく、とにかく早く手術をしてほしいと患者さんが要望される場合は、内科と整形外科とダブル主治医としてタッグを組んで、血糖値をシビアにコントロールしながら手術をすることもあります。特に、持病がある患者さんの場合、人工股関節置換術を行うにあたってどのようなリスクがあるかは、主治医の先生がよくわかっていますので、躊躇せずによく相談することが大切だと思います。
股関節の痛みや動きにくさを抱えたまま、長い間がまんし続けてしまうと、そのうち膝や腰も痛くなり始め、どうにもならなくなってしまいます。股関節に症状を感じたら、とにかく整形外科の専門医の診察や検査を受けていただきたいです。そして、手術を勧められたら、あまりいたずらに保存治療を長引かせずに、手術を決断したほうがいいと思います。もちろん、手術の必要がない人にまで無理に勧めることはまずありませんから、とにかく受診して、相談してみることをお勧めします。自分が納得できる治療を受けるためには、人工関節も選択肢に入れながら積極的に受診して、信頼できる医療機関と医師を探すということも大切だと思います。
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