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専門医インタビュー

肘や手指の痛み、腫れは、関節リウマチと上肢の治療に精通した手外科専門医に相談を

この記事の専門医

國府 幸洋 先生

千葉県

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日本整形外科学会専門医、日本手外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本リウマチ財団登録医、デュピュイトラン拘縮酵素注射療法適正使用講習修了、AO Trauma principles, advances course, Masters course 修了、AO Trauma Hand & Wrist, Cadaver course 修了、身体障害者福祉法指定医(肢体不自由)、臨床研修指導医、臨床プログラム責任者

この記事の目次

人工肘関節が適応になるのは、どのような状態でしょうか

関節リウマチ

関節リウマチ

変形性肘関節症

変形性
肘関節症

上腕骨遠位端粉砕骨折

上腕骨遠位端
粉砕骨折

難治性偽関節(外傷後)

難治性偽関節
(外傷後)

人工肘関節の一例

人工肘関節の一例

十分な薬物治療を行ったうえで、関節リウマチや変形性肘関節症などによって、強い痛みが残っていて生活動作や仕事に不自由している、肘関節の構造が破綻していて不安定性が強い、あるいは、痛みや変形によって肘関節の動きが制限されているといった場合、人工肘関節への置換が良い治療法になると思います。具体的には、食事や飲み物が口に届かない、髪や顔が洗えない、痛みで肘の曲げ伸ばしが困難、あるいは肘は曲がるけれども関節がグラグラして不安というように日常生活に支障が出てきたら、人工肘関節の手術を考えたほうがよいでしょう。

人工肘関節の手術を受ける適切なタイミングはありますか?

國府幸洋先生の写真

人工肘関節を長持ちさせ、手術によって向上したQOL(生活の質)を長期間維持するためには、必要最低限の“骨量”と関節を安定化させる“筋力”が必要です。ところが、反対側の手で補えるうちは何とか我慢してしまう。さらに、関節リウマチや慢性痛に対する薬が進歩しているため、ぎりぎりのところで痛みをコントロールできている方も多いのです。
このような理由から、機能の低下や痛みの程度を目安にして人工肘関節の手術を受けるタイミングを図っていると、その間に関節リウマチによる関節破壊が予想以上に進んでしまうことがあります。実際、適切な手術時期を逃してしまい、重度の関節変形や骨欠損を生じているため、人工肘関節に置換しても長期的な改善がどこまで期待できるのか、疑念を生じるケースに遭遇することがあります。こうしたことから、やはり肘関節がひどく破壊されてしまう前、できれば痛みを生じた段階で、人工肘関節の手術を行える専門医の診察を受けるべきだと思います。

人工肘関節置換術のメリット・デメリットを教えてください

手術前のレントゲン→人工肘関節置換術後のレントゲン
手術前のレントゲン(左)/人工肘関節置換術後のレントゲン(右)
表面置換型(左)と半拘束型(右)
表面置換型(左)と半拘束型(右)

痛みを生じる原因となる部分を人工関節に置き換えますので、症状の大幅な改善が期待できます。さらに、関節リウマチで多くみられる肘の変形、つまり肘関節のアライメント(骨や関節の並び)が改善されるので、関節の機能だけでなく見た目の印象もよくなります。
もう一つメリットといえるのが、近年、インプラント(人工関節)も手術手技もかなり改良が進んだことで、耐用年数が長くなっていることです。昔は、インプラントの持ちがあまりよくなかったために、人工関節にするのはなるべく遅らせるという選択もされていました。しかし、今は、必要であれば50代の方にも人工肘関節の手術を検討します。
私自身、以前と比べて比較的若い方に手術をすることが増えたと感じています。
また、人工肘関節の種類によってもメリット・デメリットがあります。現在、世界中で使用されている人工肘関節には、大きく分けて「表面置換型」と「半拘束型」があります。表面設置型は、骨量と筋力が保たれている、比較的若い方に向いていますが、脱臼のリスクがあります。一方、半拘束型は、脱臼のリスクがなく、骨量が乏しいかなり進行した肘関節にも適応できるというメリットがあります。いずれの人工関節を用いたとしても、将来人工肘関節の緩みなどによって再置換が必要となった場合には、骨移植や再置換用のインプラントが必要になる場合があります。どのような年齢の方でも適切な手術のタイミングで、自分に合った手術を受けるために、肘の痛みを我慢しないで、あきらめず、上肢の専門医に相談しましょう。


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