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専門医インタビュー

信頼できる専門医にしっかり相談し股関節の痛みをなくして生活の質向上を

森谷 光俊 先生

神奈川県

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専門領域:人工関節手術、外傷一般
資格等:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本体育協会公認スポーツドクター、公益財団法人日本テニス協会アンチ・ドーピング委員、平成15年 藤田保健衛生大学医学部卒、北里大学医学部整形外科入局、平成21年 北里大学医学部整形外科学 助教

この記事の目次

40代以降の女性を中心に、変形性股関節症などによる股関節の痛みに悩む人は少なくありません。より自分らしく活動的に暮らすため、最近では若い世代でも人工股関節置換術を選ぶ人が増えているそうです。「ご自身が信頼できる主治医を見つけ、疑問をすべて解消した上で臨むのであれば、人工股関節置換術は患者さんの満足度の大変高い手術といえます」と語る森谷光俊先生にお話をうかがいました。


変形性股関節症とはどのような疾患ですか?

正常な股関節(左)と寛骨臼形成不全(右)

正常な股関節(左)と寛骨臼形成不全(右)

変形性股関節症とは、股関節への負担が原因で起きる関節疾患で、軟骨の破壊や骨の変形によって痛みが出ることがあります。関節が痛むため、関節リウマチとも間違えられやすいですが、別の病気です。40~50代に症状を自覚する方が多く、高齢化が進む中で患者数も増えています。変形性股関節症は、一次性と二次性に分かれます。一次性は明らかな原因はなく、肥満などにより次第に関節が壊れてくるものと考えられています。それに対して、二次性は何らかの病気やケガに起因するもので、日本人は二次性が多く、8割以上を占めています。
二次性の変形性股関節症で最も多いのが寛骨臼形成不全によるものです。大腿骨(太ももの骨)の先端にある丸い形をした骨頭は、正常な場合、80~90%程度が寛骨臼(骨盤のくぼみ)に包み込まれています。この寛骨臼の形成が不良で、十分に骨頭を覆っていない状態が寛骨臼形成不全です。股関節には体重の数倍の力がかかりますが、骨頭を覆う寛骨臼の面積が狭いと、そこに集中的に荷重されることになります。結果として、骨頭と寛骨臼の間にある軟骨がすり減ってしまい、放置しておくと骨頭まで変形していきます。いったん変形した股関節を、元の状態に戻すことはできません。

変形性股関節症にはどんな治療法がありますか?

股関節脱臼

股関節には体重の約3倍の力がかかります。

軟骨がすり減っていく進行性の病気ですので、その進行をどう抑えるかがまず大切です。肥満の人は特に股関節への負担が大きいため、減量は欠かせません。歩行中や片足で立ったとき、股関節には体重の約3倍の力がかかるといわれています。これは言い換えれば、5kg痩せればそれだけで股関節への負担を15kg減らせるということです。また、25kg以上の荷物を日常的に持ち運ぶような重労働の方も進行が速かったという報告もあり、勤務先と相談し、職場環境を変えてもらうなどの対策で、なるべく関節をいたわるようにします。ストレッチや筋力トレーニングなどの運動療法も重要です。寛骨臼形成不全では、骨頭が十分に被われていないため股関節が不安定な状態にありますが、周りの筋肉を鍛えることでその安定性を高められます。痛みが強くて気になるという人には、あわせて湿布や消炎鎮痛剤も処方しています。
一方で、それらの治療を行っても徐々に症状が進み、日常生活に支障が出てしまうような場合は、人工股関節置換術などの外科的な治療も選択肢に入ってきます。

人工股関節置換術を受けるタイミングはいつですか?

変形性股関節症のレントゲン

変形性股関節症のレントゲン

股関節の痛みが強くなると、それをかばうことで反対の股関節や膝や腰などの隣接関節に負担がかかってきます。ひどくなると、左右の足の長さに違いが出たり、目立って姿勢が悪くなることもあります。強い痛みに悩まされ自分らしい生活を送れないのは、患者さんが望むことではないでしょう。そうした場合は、ひたすら我慢するより、時期を見て手術を視野に入れても良いと思います。
ただ、症状の進み方は人それぞれです。一般的にはレントゲン上で変形が進めば痛みも強くなる傾向にありますが、そこまで痛みが気にならない人という人も中にはいます。過度に動き回るような生活もしておらず、しばらく様子を見たい人であれば手術を急ぐ必要はありません。
反対に、レントゲンを見る限りそこまで変形は強くないものの、痛みがひどい、もっときれいに歩きたい、活動的に暮らしたいなどの希望があれば、十分に話し合った上で人工股関節置換術を勧めることもあります。
患者さん自身の気持ちが何より重要です。


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