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専門医インタビュー

人工膝関節全置換術は痛みを取るための有効な治療法のひとつです

この記事の専門医

林 正典 先生
  • 林 正典 先生
  • 岡山済生会総合病院 岡山済生会外来センター病院 整形外科 診療顧問
  • 086-252-2211

岡山県

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専門分野:膝関節外科・外傷、スポーツ外傷・傷害
資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会スポーツ医、日本リハビリテーション学会臨床認定医、日本整形外科スポーツ医学会評議員、中部日本整形外科災害外科学会評議員、臨床研修指導医養成講習会修了

この記事の目次

術後からリハビリ、退院までの流れを教えてください

リハビリテーション室

リハビリテーション室

患部に血が溜まらないように挿入されたドレナージというチューブを術後2日目に抜き、3日目からはリハビリ室で膝の可動域訓練や筋力訓練、歩行訓練を開始します。お風呂の入り方やトイレの使い方といった日常生活動作も、作業療法士が丁寧に指導しますので、心配なくリハビリを進められます。こけずに安定して歩けることと、階段の昇り降りができることが退院の目安です。近年は人工関節の材質やデザインが進化して術後のリハビリが進めやすくなっているため、リハビリ期間も短くなってきました。早い人は2週間で抜糸後に退院できますし、平均でも3週間程度です。高齢や障害があるなどの理由で1カ月程度かかる場合は、地域包括ケア病棟にて引き続きリハビリを行っていただくこともあります。膝関節以外はお元気で、歩きたいという気持ちが強く、手術に前向きな人であれば、高齢でも手術を受けることが可能です。90歳以上の人が手術をするケースもあります。

人工関節の耐用年数はどのくらいですか?

プールトレーニングはお勧めです。

プールトレーニングは
お勧めです。

現在では、30年以上もつのではないかといわれています。60歳以上で手術を受ければ、よほどのアクシデントがない限り、再置換の心配はないでしょう。長持ちさせるためには、飛んだり跳ねたりする激しい動きは避けなければいけませんが、ゲートボールや、カートでゆっくり回るゴルフくらいであれば、問題はないと思います。水泳は、浮力があって人工関節にあまり負担がかかりませんし、水中では歩くだけでも水の抵抗によって筋力訓練になるので、プールトレーニングはお勧めです。
退院の3カ月後、6カ月後、1年後、その後も1年に1回は定期検診を行って人工関節の状態をチェックしますが、私の経験では検診時に痛みを訴える患者さんはほとんどいらっしゃいません。手術時に緩みのないカッチリとした膝を作り上げ、その後のリハビリである程度の可動域を確保できていれば、その後も問題なく過ごせるような印象を受けています。

膝の痛みに悩んでいる人へアドバイスをお願いします

林 正典 先生

人工膝関節全置換術後の患者さんに満足度調査を行ったところ、「痛くなくなった」「歩けるようになった」「階段昇降も含め日常生活動作が行いやすくなった」という3つの答えが圧倒的に多数でした。膝の変形や痛みによって様々な日常生活動作が困難になってしまったことが、患者さんが手術を決心する決め手になるケースが多いので、この結果を見る限り、満足度は高いとえるでしょう。
自分一人で悩んでいるだけでは、解決には結び付きません。まずはご近所の整形外科などを受診して相談してみましょう。ヒアルロン酸注射や筋力トレーニングといった保存療法だけで症状が改善することも十分に可能です。手術が必要な状態だと判断され、総合病院などを紹介されても、必ずしも手術を受けなければいけないわけではありません。十分な説明を受け、ご自身が納得できたら前向きに考えてみればいいのです。膝の痛みは生活の質を大きく低下させてしまう可能性があります。
「膝の動きが悪い」「力が入らない」「痛みが強くなった」などの症状があれば、あまり我慢せず、早めに医療機関に相談しましょう。




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