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専門医インタビュー

ひざ・股関節を正しく把握し専門医と一緒に適切な治療法を考えよう

この記事の専門医

今村 史明 先生

大阪府

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経歴:平成4年兵庫医科大学医学部卒業、平成10年兵庫医科大学大学院修了
資格:日本整形外科学会会員、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本リウマチ学会専門医、中部整形災害外科学会評議員、医学博士

この記事の目次

術後のリハビリの流れとその重要性を教えてください

階段昇降

血栓予防のために抗凝固薬を使用している場合は、出血が止まっていることをきちんと確認してからリハビリを始めます。まずは患部にしっかりと体重をかけて歩行訓練を開始。段差のない住環境の人は平地が歩けるようになれば、階段をよく使う環境の人は階段昇降をクリアしてから退院となります。
患者さんの中には手術をして入院していればよくなると思っている人もいるようですが、決してそんなことはありません。患者さんがモチベーションを高く持ってリハビリに取り組むかどうかは、術後の回復に大きく影響します。例えば、手術をした超高齢の95歳男性の場合、超高齢のためリハビリの進行具合が心配されていましたが、リハビリ室だけでなくベッド上でも積極的に筋力トレーニングを行っていくことで筋力がアップし、歩行状態が良くなり、2週間ほどで歩いて退院されたケースもあります。リハビリを続けることで筋力がつくと、歩きかたも改善され、人工関節もしっかりと機能することが期待できます。退院後も入院中に指導されたリハビリを継続し、状態の良い関節を維持していってほしいですね。

人工関節は進化しているのでしょうか?

人工膝関節の一例

人工膝関節の一例

進化していますね。サイズバリエーションも豊富になり、より細かくそれぞれの患者さんの膝に対応できるようになりました。インプラントのデザインも洗練され、インプラント特有の合併症も少なくなっています。軟骨の代わりを果たすポリエチレンは材質の進歩によってほとんど摩耗しにくくなりました。膝関節ではすべての靭帯を温存できるタイプの人工関節も開発され、より自然な膝の動きを目指すことが可能になっています。これらの進化に加えて、手術手技についてもナビゲーションシステムの導入などにより、正確な骨切りと人工関節の設置を行うことができ、また膝周囲の軟部組織・靭帯バランスを整えることによって人工関節が傷んだり緩んだりせずに過ごせる期間が今後はより長くなっていくのではないかと予測できます。
実際には今後の長期成績の結果を待たないとはっきりとしたことはいえませんが、従来は15年~20年といわれていた耐用年数も、今後は30年くらいは期待できるのではないかといわれています。ただし、人工関節と上手に長く付き合っていくためには、定期的なチェックが欠かせません。どんなに調子がよくても1年に1度は病院を訪れ、状態を診てもらうようにしましょう。

膝や股関節の痛みに悩んでいる人へメッセージをお願いします

今村 史明 先生

まずは整形外科を受診して、ご自分の関節の状態を正しく診断してもらいましょう。保存療法を行うだけで症状が改善し、手術の必要がない人もたくさんいらっしゃいます。ご本人が望んでいないのに医師が手術を勧めることはありません。今のご自身にとって何がより良い方法なのかを、医師と一緒に考えてみることが大切です。手術が適応だけど心配という場合でも、現在の人工関節は素材も機能も進化していますし、手術手技や手術環境も向上しています。人工関節の手術は術後すごく痛いとよく言われていますが、現在は術後の痛みを軽減する方法が確立され「あら、こんなに痛くないのなら、もっと早く手術すれば良かった」と言われる患者さんも多くなっています。手術に抵抗がある人は多いと思いますが、むやみに怖がる必要はありません。医師によくご相談して、納得した上で治療を進めていきましょう。


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