関節治療の専門医に聞いてみました!

第280回 ひざの痛みは将来を考えるチャンス
専門医に相談して
納得のいく治療を

  • 長瀬 寅 先生
  • 同愛記念病院 整形外科部長 関節鏡・スポーツセンター長
  • 03-3625-6381
ドクター
プロフィール
専門分野:膝関節・足関節・スポーツ障害
資格:整形外科専門医、医学博士、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本整形外科スポーツ医学会代議員、東京医科歯科大学医学部臨床准教授
エリア 東京都タグ
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長瀬 寅 先生

膝の痛みに悩んでいても、整形外科ではすぐに手術を勧められるのではないかと受診を躊躇してしまう方は少なくありません。しかし、痛みを改善するには、正しい診断と状態に合った適切な治療が必要です。「治療法はさまざまです。ご自身に合った治療法を見つけていただきたい」と話す同愛記念病院の長瀬先生に、膝の痛みの原因や治療法について伺いました。

膝が痛む主な原因は何ですか?

変形性膝関節症

変形性膝関節症

軟骨がすり減った様子

軟骨がすり減った様子

多くは加齢による変化で膝関節の軟骨がすり減り、痛みが生じます。ただし、単に軟骨がすり減っただけで痛むことはなく、炎症が起きているために膝痛が起きていると考えて良いでしょう。このような状態で圧倒的に多いのは、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)という病気です。
変形性膝関節症の原因はさまざま考えられますが、例えば中高年の場合、半月板(はんげつばん)という組織が年齢とともに傷み、徐々に膝関節の内側に逸脱して軟骨の摩耗が進むというところから始まることがあります。

半月板と変形性膝関節症の関係について教えてください

半月板

半月板は、膝にかかる体重の負荷を分散させるクッションのような役割により関節を安定させるはたらきをしていますが、年を重ねるごとに少しずつすり減っていきます。使い込んだ家電製品が壊れることがあるのと一緒で、関節の機能も年齢とともに消耗していくのです。
中高年の場合、半月板が変性した状態に外力が加わることで損傷が生じることが多いです。また、過去にスポーツのケガなどで前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)を損傷した場合にそれがきっかけとなって半月板損傷を合併するケースもあります。半月板損傷によりクッションのような役割が弱まると、より軟骨に負荷がかかるため変形性膝関節症の進行につながってしまいます。
半月板損傷は、テニスやスキーのような関節に衝撃がかかるスポーツ経験があるとか、立ち仕事や重労働を長年続けてきたとか、膝にケガをしたことがあるといった方にみられる傾向があります。それから、体重が重すぎる方も注意が必要です。体重が増えれば増えるほど膝にかかる負担は大きくなり、変形を引き起こしやすくなります。

その他に中高年に多い膝の病気はありますか?

大腿骨内顆骨壊死

大腿骨内顆骨壊死

大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)といって、膝関節の大腿骨(だいたいこつ=太ももの骨)側の内側に微小な骨折が起こり、壊死を起こす病気があります。原因は未だ明らかにはなっていませんが、中高年の女性に多いといわれています。変形性膝関節症は立ち上がりや歩き出しに痛みを生じることが多いのに対し、大腿骨内顆骨壊死は就寝中などの安静時に強く痛むことが特徴です。

どのような場合に整形外科を受診したら良いのでしょうか?

痛みが慢性的に続いていて日常生活に支障が出てきた場合は、治療について考える良いタイミングです。中には、すでに民間療法を実践されている方もいらっしゃるかと思いますが、継続していてもなかなか痛みが改善しない場合は、一度整形外科を受診されることをお勧めします。
まずはご自身の状態を正しく診断してもらうことが、改善への第一歩です。例えば、半月板や靭帯のような軟部組織の損傷は、MRI検査をしないと確認できないことが多いです。また同じ膝痛でも、変形性膝関節症と大腿骨内顆骨壊死とでは病態が違うので治療の考えかたも異なります。痛みの程度やライフスタイルも患者さんによってさまざまありますから、診察や詳しい検査を通して総合的に評価し適切な治療法を見つけることが大切です。


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