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専門医インタビュー

股関節の痛みは生活への支障を感じる前に受診し適切な治療を。

この記事の専門医

城本 雄一郎 先生

埼玉県

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専門分野 股関節外科、人工関節外科
資格 日本整形外科学会認定整形外科専門医

この記事の目次

手術当日までに気をつけることはありますか?

人工股関節置換術の流れ

できるだけ頑張って動いて筋力を落とさないようにしてください。手術を決意してから手術日までには通常1~2カ月程度はあり、何もせずじっとしているとその間にも筋力はどんどん落ちてしまいます。高齢になるほど、一度落ちた筋力をリハビリで取り戻すのは大変です。人工関節にすることで股関節そのものの痛みはなくなりますが、筋力がついてこなければ十分に脚を動かすことはできません。術前は痛くて大変なことと思いますが、それでも筋力トレーニングなどを続けてなるべく良い状態で手術に臨んだ方が、術後のリハビリや退院後の社会復帰が楽になります。

術後、リハビリはどのように進めますか?

歩行器

手術翌日から、歩行訓練を中心にリハビリを進めていきます。といっても最初からスタスタ歩ける方はいませんので、まずは歩行器、その後必要に応じて杖を使って歩き、安定してきたら何も持たずに歩く練習をします。また、より実践的なリハビリとして階段昇降や浴槽をまたぐ練習なども重ねます。平らな場所をしっかり歩けること、段差を自分の脚で乗り越えられることが退院の目安です。
次のリハビリは自宅にかえってからの毎日の生活です。まずは日常の動作や必要な家事ができるようになることを目指し、その後は近所の散歩や買い物に出かけたり、自信がつけば仕事に復帰したりとご自身の生活を徐々に取り戻していきます。患者さんによっては、さらに筋力を高めるため、ジムやプールに通うことも勧めています。

退院後、日常生活で注意することを教えてください。

入院期間は2~3週間、社会復帰までの時間は2カ月程度がひとつの目安となります。ただ、術前に筋力がどのくらい残っているかなど個人差が大きいのが実際です。
退院後は、骨折や脱臼を避けるため、まずは転ばないようにすることが大切です。そのため、スキーやスケートのようなスポーツは推奨できません。あとは人それぞれで、脚の状態や本人がどのように暮らしたいかという希望に依ります。杖がないとまだ歩くのが不安という方がテニスを始めるのは難しいものですが、小走り程度ができる方がゴルフや卓球をするのなら問題ないでしょう。
ジョギングは人工関節への負荷が高いスポーツですが、絶対にダメとは言っていません。人工関節の手術は、多くの患者さんがご自身がやりたいことをするために選択される手術であり、術後ご本人が「ぜひまた走りたい」と考えているのであれば、是が非でも禁止するようなものではないからです。ただ、ジョギングの程度によっては人工関節の寿命に影響してくる可能性は踏まえておかなければなりません。
こちらから何かを制限するというよりも、患者さん自身が転倒しないように気をつける中で、できることできないこと、必要なことと必要でないことを見極めていってほしいと思います。

股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします。

城本 雄一郎 先生

股関節の痛みが続く、痛みが繰り返す方は、やはり一度整形外科を訪ねて専門医に相談するのが良いと思います。「手術は絶対にいやだから病院には行きたくない」と考える方もいるかもしれませんが、手術だけが治療のすべてではありません。一人ひとり抱える事情や治療への考え方は異なる中、医師はそれを踏まえたアドバイスをしていきます。望まない治療を強要されるようなことはありません。治療の方向性を決めていくためにも、まずは早めの受診をお勧めします。


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