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専門医インタビュー

治療法は進化中です。股関節の痛みの原因を知って、自分らしい治療法を選びませんか。

この記事の専門医

笠井 健広 先生
  • 笠井 健広 先生
  • 中部ろうさい病院 関節外科部長
  • 052-652-5511

愛知県

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専門医:日本専門医機構 認定整形外科専門医、日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医、臨床研修指導医

この記事の目次

手術前と後で、痛みはどのように変わりますか?

手すりを持って階段の昇降

痛みが出ている箇所を人工股関節に置き換えるため、骨同士がぶつかることで生じるこれまでの痛みは、早い段階で消えているといわれる方が多いです。ただし術後1~2週間は手術にともなう痛みがありますが、それが治まっていけば比較的歩きやすくなると思います。手術は患者さんにとってはケガをしたような状況なので、術後早期は鎮痛薬の内服や注射を使い、痛みのコントロールをしっかり実施。痛みが少ないほうがリハビリへの意欲が湧き、早い回復にもつながります。入院期間は2~3週間程度で、毎日歩行訓練、可動域訓練、筋トレなどのリハビリを行います。自宅でほぼ支障なく日常生活を送るために「杖をついて歩くことができる、手すりを持って階段の昇降ができる」ことが退院の目安です。

退院後、日常生活にすぐ戻れますか?

日常生活に戻れる目途を立ててから退院するため、すぐに日常生活に戻れます。リハビリを継続して生活に慣れてきたら、杖なしで歩く、自転車に乗るなど、前向きに活動レベルを上げてほしいと思います。よりスムーズに動けるようになれば、クルマの運転も可能としています。股関節の痛みであきらめていたスポーツも、できる方は実施してほしいですね。野球やサッカーなど人とぶつかるようなスポーツは避けていただきたいですが、水泳、ゴルフ、ゲートボール、卓球などは可能だと思いますので、担当医と相談しながらアクティビティを上げてほしいです。
ただし転倒には気をつけて生活してください。高齢とともに骨粗しょう症が進んでいる場合があり、転倒により人工関節は正常でも周りの大腿骨が折れてしまうことがあります。また人工股関節の状態を定期的に確認するためにも、1年に1度はレントゲンを撮ることをお勧めしています。

股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いします。

笠井 健広 先生

変形性股関節症は、即手術を行うような急性の病気ではありません。全員がいきなり手術をするわけでもありません。「手術が怖いから病院に行きづらい」という声をよく聞きますが、保存治療や手術によって痛みが軽減できることもあるのに、無理に我慢してその機会を失っている可能性があります。整形外科は、痛みの原因を突き止めてその症状を和らげ、一人ひとりのQOL(生活の質)を高めるという役割があります。股関節の痛みをかばうことで膝や腰にも影響を及ぼすことがありますので、まずは痛みの原因と治療法を正しく知ってほしいですね。
もし痛み止めが効かなくて日常生活が困っているのであれば、手術も選択肢のひとつです。でも手術を強制することは決してありません。専門医は患者さんが「何に困り、今後どうしたいか」を聞いて、それに近い治療の選択肢を提案しています。適切なタイミングで判断するためにも、早めに専門医にかかって遠慮なく相談してほしいです。


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