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専門医インタビュー

膝の痛みは関節だけでなく筋肉の問題で起こることも多く、痛みの解決のためには原因の適切な見極めが大切です

この記事の専門医

朱 寧進 先生
  • しゅ ねい しん 先生
  • 多摩北部医療センター 整形外科 部長
  • 042-396-3811

東京都

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東京医科歯科大学医学部卒業
専門分野:下肢関節外科(人工関節・骨切り術)、関節鏡下手術、膝の痛み
資格:日本整形外科学会認定専門医、日本人工関節学会認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、医学博士、東京医科歯科大学臨床教授

この記事の目次

関節の内側が原因で起こる膝の病気について教えてください

図3 関節の痛みのメカニズム

図3 関節の痛みのメカニズム

関節そのものが原因により膝に痛みが出る病気で最も多いのは、変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。文字通り、「膝が変形して痛みがある」という意味であり比較的安易につけられる病名です。半月板と軟骨には神経が乏しいため、これらが傷んだだけでは通常、痛みは起こりません。骨と関節内の裏打ちする滑膜(かつまく)には神経が豊富なため、骨と骨がぶつかる、関節内の炎症が起こる(関節炎)ことによって、痛みが起こります。変形性膝関節症が発生する原因として、大きく3つのパターンが考えられます(図3)。1つは、加齢によってクッションの役割をしている半月板や軟骨が傷み、太ももの骨(大腿骨(だいたいこつ))とすねの骨(脛骨(けいこつ))という骨同士がぶつかり合って変形性膝関節症を発症する場合です。
2つめは、もともと足の形がO脚で、膝への荷重が内側に偏ってかかり続けた結果、内側の半月板や軟骨が傷み、変形性膝関節症を発症する場合です。3つめとして、「骨壊死(こつえし)」のため軟骨を裏打ちする骨の状態が悪化するため軟骨が傷み、変形性膝関節症を発症する場合です。

レントゲンに写らない膝の病気もありますか?

軟骨がすり減り、関節の隙間が狭くなったり関節が変形したり、変形性膝関節症が進んでくるとレントゲン検査で診断できます。しかし、その前段階で起きる半月板損傷、骨壊死の初期は、レントゲンでは確認できず、MRI検査でしかわかりません。特に、最近、高齢化に伴って骨壊死の方が増えている印象があります。レントゲンで異常がないのに痛みが続く場合は、MRI検査設備の整った医療機関を受診して、詳しく調べてもらうとよいでしょう。

骨壊死とはどのような病気なのでしょうか?

骨壊死

骨壊死

骨壊死は、階段の踏み外しなど、ふとした衝撃によって起こる“微小な骨折”であることがわかってきました。つまり、骨の病気というよりも「いつの間にか骨折」と言ったほうが近いのです。骨粗しょう症が引き金になるといわれており、特に50代以降の女性はリスクが高いといえます。
骨壊死の症状の特徴は、夜間痛があることです。立つ、歩くといった動作で膝に体重がかかったときにも痛みますが、夜間、寝ているときにも膝が痛むことが多いのです。壊死を起こした範囲が小さく、なおかつ初期の段階で発見できれば、杖を使って荷重を制限するなどの保存的治療で改善することがあります。しかし、壊死の範囲が大きかったり、壊死が進行して広範囲に及び、軟骨が傷んで関節の変形が強くなると、骨切り術(こつきりじゅつ)や人工膝関節置換術(じんこうひざかんせつちかんじゅつ)などの手術が必要になることがあります。


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