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専門医インタビュー

まずは膝の状態を知ることが大切です 膝の痛みは早めに専門医に相談を

この記事の専門医

田渕 幸祐 先生

福岡県

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専門分野:関節外科(膝)、膝のスポーツ傷害、関節鏡手術(膝)、人工関節手術(膝)
資格:日本整形外科学会専門医、JOSKAS関節鏡技術認定
所属:日本整形外科学会、JOSKAS、日本臨床バイオメカニクス学会、International Society of Arthroscopy, Knee Surgery & Orthopaedic Sports Medicine

この記事の目次

手術後合併症について教えてください

弾性ストッキングをはき、患者さんご自身で足首を動かす

手術には出血や感染、血栓症といった合併症のリスクがあります。手術中の出血によって輸血が必要な場合がありますが、もともと貧血(赤血球減少)がない方に対しては手術の数週間前に自分の血液を採血して貯めておき(自己血貯血)、術後にその血液を戻す方法を取っています。人工関節に細菌が付く感染を予防するために、手術中は抗生物質の投与を行います。また感染がおこるのは、手術中や入院中と比べ退院後数年たってから感染になるケースのほうが多いのです(遅発性感染症)。そのため日常生活に戻ってからの感染を予防するには、膝の近くに傷がつかないようケガをしたら放置しない、歯周病など歯や口の中の病気があれば治療するという対策や、ペットにかまれ感染を起こしたというケースもあるので、そのような場合も放置せず治療することが大切です。血栓症を予防するために、血液がサラサラになる薬を使ったり、弾性ストッキングをはき、患者さんご自身で足首を動かすようにお願いしています。

退院後の生活や注意点についてお教えください

リハビリ

さまざまな方法で手術による痛みのコントロールをしっかり行います。手術は全身麻酔で行いますが、術後の痛みを軽減する手段として手術前に神経ブロック注射を行うと、痛みを感じにくい状態が半日~1日続きます。加えて内服の鎮痛剤などで痛みをコントロールし、術後2~3日後くらいからリハビリを開始します。およそ3週間程度で創口が治るのでその後は患者さんの状態によっては退院が可能となります。高齢の方など手術前の状態によっては更に入院期間が必要な場合がありますが、1ヶ月半くらいで多くの方が、杖なしで歩ける状態になっています。自宅に戻られてからは、正座など膝を深く曲げる動作は膝に負担をかけることになるので、イスを使うなど和式の生活スタイルから洋式に変えていったほうが望ましいでしょう。激しい運動やスポーツは、人工関節に過度な負担がかかるので控えたほうが良いですが、軽作業やウォーキング程度なら問題ないので、医師と相談しながら希望される趣味やスポーツを行っていただきたいと思います。

最後に、膝の痛みに悩んでいる方や手術を迷っている方などにメッセージをお願いします

膝に痛みがあれば、我慢せずに、まずは膝の専門医を受診して、ご自身の膝の状態を知ることが大切です。膝が痛いことは辛いことだと思います。しかし、痛みの原因が分かれば過度に怖がる必要はないのではないでしょうか。治療は痛みや変形の度合いに応じてさまざまな治療法があり、手術を希望されない場合は、手術以外の治療法もあります。お一人で悩まず、ぜひ専門医にご相談ください。


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