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専門医インタビュー

変形性膝・股関節症 リハビリや手術など治療の選択肢が増えています まずは専門医にご相談を

この記事の専門医

梶川 佳照 先生

京都府

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2001年京都府立医科大学卒業、2008年京都府立医科大学大学院卒業
医学博士
資格・所属:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、膝関節鏡技術認定医、龍谷大学アメリカンフットボール部チームドクター

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この記事の目次

前方アプローチで行う人工股関節置換術の特徴にはどのようなものがありますか?

前方アプローチ

前方アプローチ

従来は股関節の後方に切開を加え、後方の筋肉を大きく切開して股関節に到達する方法で行われてきました(後方アプローチ)。その場合、術後の脱臼を予防するために日常生活においてさまざまな行動に制限が必要でした。最近では、身体への負担を減らす低侵襲手術により、皮膚切開の長さが従来よりも短くなっただけでなく、手術中の出血量も軽減できるようになっています。また太ももの前側から切開する「前方アプローチ」で手術を行うと、筋肉や腱を切らずに人工関節を設置できることから脱臼を起こしにくく、日常生活上も特に動作制限する必要はありません。筋肉や腱を温存できるので、術後の痛みが少なく、社会復帰も早く、仰臥位前外側(ぎょうがいぜんがいそく)進入法(ALSA)という仰向けに寝た状態で手術を行えば、術中にレントゲン撮影で確認しながら正確に人工関節が設置されているか確認でき、骨盤の位置が安定しているので脚の長さを揃えやすくなるなどのメリットがあります。

一度に両膝、両股関節の手術ができるのですか?

手術は丁寧に時間をかければかけるほど良い、というものではありません。同じクオリティーであればもちろん時間が短いほうが身体への負担が軽い(合併症リスクが低い)のです。丁寧でありつつ迅速で無駄のないシステマティックな手術をチームとして目指すことで、両膝同時、両股関節同時の人工関節手術が可能になります。両側同時手術のメリットはもちろん一度に手術が済むことですが、それだけでなく術後の脚の長さを揃えやすく、関節の変形が強い場合には両側手術のほうがリハビリを進めやすいといったメリットもあります。片側手術と比べ合併症リスクが少し増えることは否めませんが、そのメリットは多大です。両膝・股関節に強い症状や変形を抱える方にとって一度に両側を手術することは有効な選択肢になると考えています。

手術にともなう合併症と退院後の生活について教えてください

骨切り術や人工関節の手術だけでなく、外科的手術にはどうしても合併症のリスクがあります。特に気をつけたい合併症として感染があります。虫歯などご自身が持っている菌が原因で感染することがありますので、手術した患部が腫れたり熱感があればすぐに受診するようにしてください。
退院後も大腿四頭筋訓練やストレッチなどのリハビリを続け関節が弱くならないよう曲げ伸ばしができるようにしていきましょう。痛みが軽減するとさまざまなことに挑戦されたいのではないかと思います。過度に衝撃が加わるインパクトスポーツは避けていただきたいですが、医師に相談し色々なことにチャレンジしていただきたいですね。ただ、どんなに調子が良くても、定期的に受診し膝や股関節の状態を確認してもらうことを忘れないように、患者さんと医師とは一生のお付き合いになります。

膝や股関節に痛みを抱えている方へメッセージをお願いいたします

日本は世界一の長寿国です。「人生100年時代」の社会が到来するといわれています。しかし寿命がいくら伸びても、自立した生活が送れる健康寿命と平均寿命のおよそ10年の差が縮まっていないのです。人生が100年続くのなら、多くの方はメタボやロコモ(運動器機能不全)になりやすく、要介護リスクがあがってしまいます。誰だって寝たきりにはなりたくないし、手術もできることなら受けたくないと思います。介護予防だけでなく、我々整形外科医は患者さんの一生を見据えて治療を考えるのが仕事です。できるだけ早期に専門医に受診いただき、色々な選択肢の中から患者さんと医師が一緒になって目標設定に応じた治療戦略を創っていくことが重要だと思います。


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