歳のせいと諦めないで！　手術という選択肢は年齢に関わらずあります　専門医にご相談ください

手術を受けることで、どのようなことが期待されますか?

高齢者の一人暮らしが増えています。そのような方の中に、膝の痛みのために、家事や買い物に行くのが困難になっている方が多くおられます。また、痛みのせいで、趣味や外出することを諦めている方もおられます。手術を受けることで、痛みが軽減するのはもちろんメリットです。しかし、それだけでなく、症状が改善することで、身の回りのことや買い物などをご自身で行えるようになり、趣味のゴルフなどを再開できたりすることが、より大きなメリットにつながるのではないかと思います。

骨切り術とは、どのような手術なのでしょうか?

骨切り術

骨切り術は、膝関節を温存したまま、すねの骨を切り、脚の形を主にO脚からややX脚にすることで荷重がかかる部分を変え、痛みを軽減させる手術です。変形が軽度で軟骨の損傷が内側もしくは外側に限局され、骨を切る手術なので若い方が対象になります。ご自身の膝が温存できるので活動制限がなく、激しいスポーツなどが行えます。もしも将来、反対側の軟骨が損傷し変形が進行してきても人工関節の手術を行え、できるだけ人工関節の手術を受けるまでの期間を延ばしたいと思われている方にも有効な手術だと思います。しかし、骨が癒合するまでに時間がかかるので、人工関節の手術と比べ、日常生活へ復帰するまでには時間がかかります。

人工膝関節置換術とは、どのような手術なのでしょうか?

全置換術（左）と単顆置換術（右）の一例

ある程度年齢を重ね、変形が進んでくれば、膝関節の表面全てを人工関節に置き換える全置換術が適応となります。以前よりも大幅に手術を短時間で行えるようになり、身体への負担が軽減し入院期間も短くなってきています。人工関節の手術は、単に傷んだ部分を取り除き、人工関節に置き換える手術ではありません。脚の全体的なバランスを考え、整えることが大変重要になります。バランスが整えば、しっかり曲げられる膝になるだけでなく、耐用年数が延びることや手術後の違和感の軽減にもつながります。
骨の変形が軽度で、片側の軟骨のみがすり減っていて反対側のすり減りが少ない場合は、悪くなっている部分だけを換える単顆（たんか）置換術が適応となる場合があります。単顆置換は、全置換に比べると、皮膚を切る大きさや骨を切る量が少ない低侵襲な手術です。そのため、術後のリハビリを比較的短期間で終えることができるので、早期社会復帰が期待できます。