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専門医インタビュー

適切な治療タイミングを逃さないためにも膝の痛みは我慢せずまずは専門医に相談を

この記事の専門医

玉井 宣行 先生
  • 玉井 宣行 先生
  • 玉井病院 理事長 兼 手術部統括部長
  • 072-471-1691

大阪府

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金沢大学医学部卒、大阪大学大学院卒(医学博士取得)
専門分野:整形外科、一般外傷、人工関節全般、骨軟部腫瘍、人工骨資格・所属:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会整形外科指導医、日本整形外科学会、日本人工関節学会、日本リハビリテーション医学会、日本緩和医療学会、日本骨代謝学会

この記事の目次

変形性膝関節症の手術にはどのような種類があるのでしょうか?

大きく分けて骨(こつ)切り術と人工膝関節置換術の二つがあり、人工膝関節置換術には単顆(たんか)(部分)置換術と全置換術があります。変形があまり高度でなく、膝関節の片側だけが傷んでいる、半月板や靭帯には異常がないという方には、骨切り術と単顆置換術が適応となります。
骨切り術は、膝関節周囲の骨を切り、体重のかかる位置を変えることで痛みを取り除く手術です。日本人は内側の軟骨がすり減るO脚の方が多いので、外側で体重を支えるように矯正します。骨癒合を待たなければならないので回復までに時間がかかりますが、回復後は動きに制限はありません。激しいスポーツも可能です。活動性の高い65歳までの方に向いていますが、ご本人が強くスポーツ復帰を望まれる場合は、70代でも受けることは可能です。これに対し単顆置換術は、膝関節の傷んでいる片側だけの表面を取り除き、金属やポリエチレンでできた人工の膝関節に置き換える手術です。激しい動きは制限されますが、痛みがとれるのが早く、日常生活へ早く復帰できるのが特徴です。

人工膝関節の単顆置換術と全置換術の違いと特色を教えてください

単顆置換術は、傷んでいない片側の関節や半月板、靭帯を温存できるため、元気だった頃の自分の膝に近い自然な動きを再現することが可能で、患者満足度が高いといわれています。また、筋肉をほとんど切らないために傷口が小さく、回復が早いので、手術時間・入院期間ともに全置換術より短くて済みます。
一方、全置換術は、膝関節の安定に重要な役割を果たす前十字靭帯を切離してしまうので、術後はもとの自分の膝の動きとは少し違った感覚になります。しかし、変形に対する矯正力が高いため、かなり高度な変形にも対応が可能です。また、膝関節の傷んだ部分をすべて取り除いて人工関節に置き換えるので、非常に除痛効果に優れています。

全置換術の流れ
全置換術の流れ
単顆置換術の流れ
単顆置換術の流れ

両膝同日に人工関節手術を行うこともあるのですか?

リハビリテーション室

リハビリテーション室

両膝ともに人工関節手術が必要な状態で、術前の全身状態に問題がなければ、単顆置換術・全置換術どちらも同日手術が可能です。特に全置換術の場合は変形の強い方が多く、片脚だけ手術をするとバランスが崩れて歩きにくいため、せっかく手術した脚に悪影響が出ることもあるので、両膝同日手術が向いているかもしれません。また、片膝手術と両膝同時手術では入院期間はほとんど変わりませんし、手術・麻酔・リハビリが1回で済むというメリットもあります。入院費用も1回分でいいので、経済的な負担も軽くなるでしょう。ただし、手術時間は倍になり、出血量も増えますので、事前に担当医とよく相談し、納得した上で決められるといいでしょう。

代表的な合併症と疼痛管理について教えてください

クリーンレベルの高い手術室

クリーンレベルの高い手術室

合併症には、感染症や血管損傷、血栓症などがあります。感染症や血管損傷に関しては、クリーンレベルの高い手術室で細心の注意を払って手術を行うことで予防を心がけます。血栓症予防としては、術中・術後に静脈の還流をよくするためのフットポンプという機器を装着しますが、何より大切なのは術後に脚や足首をよく動かすことです。意識して行うように、術前から指導します。
昔は「手術したら痛いのは当たり前」という考えの医師が少なくありませんでしたが、今はそんな時代ではありません。腰椎硬膜外に挿入したチューブからの痛み止めの持続的注入や、複数の痛み止めを混ぜた薬物の関節周囲への注射(カクテル注射)、術後の医療用麻薬の積極的な使用などで患者さんが痛みを感じないように努め、スムーズなリハビリへとつなげています。


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