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専門医インタビュー

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この記事の目次

高齢化社会が進み、近頃では高齢の方の一人暮らしが増えているようです。しかし、股関節に痛みを抱えたままだと、日常生活に影響が出てくることがあるようです。さらに、趣味や生きがいまでも制限される可能性があるようです。今回は、サンピエール病院副院長 内田訓先生に、股関節が痛くなる原因や手術を受けるメリットなとについてうかがいました。

変形性股関節症について教えてください。また、どのような治療を行うのでしょうか?

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全

中高年の方が、股関節に痛みが出てくる代表的な疾患は変形性股関節症です。日本人の場合、8、9割の原因は、臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)と呼ばれる、臼蓋が大腿骨頭(だいたいこっとう)を十分に覆えていない骨の形態不全です。
治療は、痛み止め薬や杖の使用、まれに関節内への注射などがあります。股関節に負担をかけないために、体重管理も大切です。基本的には減量していただきたいのですが、少なくとも体重が増えないように注意してください。また股関節周りの筋力を鍛えることも重要です。テレビなどを見ながらで良いので、横に寝た状態で脚を上に上げるトレーニングを行ってください。
ただし、脚が身体よりも前に上がると鍛えたい中殿筋を鍛えることができません。少し後ろに脚がいくよう上げ、鍛えたい部分にしっかり力が入っていることを確認しながらトレーニングするようにしましょう。最近ではジグリング(貧乏ゆすり)も効果があると言われています。このような保存療法を続けることで、痛みが軽減することや進行を遅くできることもあります。

ホームエクササイズ

大腿骨頭壊死、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折、急速破壊型股関節症とはどのような疾患なのでしょうか?

大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)は大腿骨頭に栄養を送っている血管が詰まり壊死した状態で、ステロイドのパルス療法や、長期間に大量のお酒を飲むことで微細な血栓ができる事が原因の1つと言われています。
骨粗しょう症のある高齢者の方が、過度なストレスや軽微な外傷によって軟骨の下にある骨(軟骨下骨(なんこつかこつ))に微細な骨折が起きてしまうのが、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(だいたいこっとうなんこつかぜいじゃくせいこっせつ)です。骨折するだけでなく、出血や炎症によって骨髄浮腫が起きます。想像しにくいかもしれませんが、骨がむくむという事です。これに伴い、骨髄の内圧が高くなる為、痛みが出ると考えられています。痛みだけでなく関節の中に水が溜まったり、骨折した部分がわずかに凹んだりする事で、将来的に変形性股関節症をきたす可能性もあります。
また変形性股関節症の一部として、急速破壊型股関節症というものがあります。この原因として高齢になり、背骨の圧迫骨折などで腰が曲がってくると、骨盤が後ろに傾いてくることがあります。そうすると、前方の臼蓋(きゅうがい)が十分に大腿骨頭を覆うことができず、臼蓋形成不全のような状態になります。軟骨下骨が傷つき、痛みや炎症が起きるだけでなく、半年から1年という比較的短期間で急激に股関節の変形が進み、股関節が破壊される病態です。このように股関節は脊椎もしくは膝といった隣り合う関節の影響を受けることもあります。
股関節が傷む原因には様々ありますので、痛みや違和感があればまずは整形外科を受診いただきたいと思います。

保存療法を続けても痛みが改善しない場合、手術を考えたほうが良いのでしょうか?

歩くと痛みが出る

無理矢理に手術を受ける必要はありませんが、夜寝ている時に痛みのせいで目が覚めることがある、買い物に行ってもスーパーを一周歩くのが辛いようでしたら、手術を考えても良いと思います。また、脚を引きずって歩いていることを周りの方から指摘される、痛みのせいで自分の楽しみができなくなるのは困るという場合も、検討されてみても良いかと思います。
以前よりも手術方法や人工関節の進歩により、手術を受けることの抵抗は下がってきているのではないかと思います。しかし、手術には、メリットだけでなく合併症などのリスクもあります。痛みが軽減したら、どのようなことができるのか、これからどうしていきたいのかをしっかり考え、ご自身にあった治療方法を選択いただきたいです。


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