人工股関節置換術など治療方法は進歩しています　専門医としっかり相談しご自身にあった治療選択を

人工股関節手術を受けるメリットにはどのようなことが考えられますか?

痛みの感じ方は個人差がありますが、大きなメリットは痛みが軽減することだと思います。痛みが軽減することで、活動範囲が広がることにもつながると思います。昔は80歳を超えたら手術は行えない、という時代もありましたが、現在は、全身状態に問題なければ80歳を超えていても手術を受けることができます。
近年は高齢者の一人暮らしが増えてきています。しかし痛みがあると、どうしても行動範囲が狭くなり、お一人での生活がままならないこともあります。手術によって痛みが軽減できれば、お一人での生活が改善できるだけでなく、畑での農作業など、ご自身の趣味や生きがいを快適に行っていける可能性があります。

変形性股関節症にはどのような手術方法があるのでしょうか?

大きく分けると、ご自身の関節を温存する骨（こつ）切り術と、人工股関節置換術があります。骨切り術は、軟骨がまだしっかり温存されていることが条件になり、骨を切り角度を調整するなどして痛みを軽減させる手術です。臼蓋形成不全の程度などによって、臼蓋や大腿骨を切り骨の形や向きを変える方法があります。
人工関節の手術は、傷んだ部分を取り除き、人工物に置き換える手術です。使用されるポリエチレンの性能や人工関節が骨に固着する性能が向上し、耐久性がかなり向上しているので、比較的若い方でも人工関節の手術を選択されることがあります。

自分に適した手術はどうやって選べば良いのでしょうか?

様々な手術方法がありますが、手術を相談する前に、痛くてこういうことができない、私はこういうことをしたい、ということをはっきり医師に伝えてください。お仕事や家庭環境など、それぞれで事情が違うと思います。ご自身の事情や生活習慣、お仕事の内容などを踏まえ、何を優先したいのかを考え、専門医としっかり相談し、ご自身に適した治療方法を選択することが大事です。もしも手術となった場合、その先生とは一生のお付き合いをしていくことになります。股関節が痛くて大変かもしれないですが、この先生に手術を任せても大丈夫か、ということをしっかりと見定めることも大切です。