専門医インタビュー
愛知県
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骨切り術
股関節鏡手術
保存治療を続けても痛みが強くなり、日常生活や仕事にも支障を来してストレスを感じているのであれば、手術を考え始めてもいいでしょう。また、寝ている時にも痛みを感じる夜間痛や安静時痛が出ているようであれば、できるだけ早めに手術を検討したほうがいいと思います。
手術方法は、変形の進行度や患者さんが求めるライフスタイルによって変わってきます。比較的軽度であれば、内視鏡で患部を確認しながら傷んだ関節唇(かんせつしん)を縫合する「股関節鏡手術」や、骨を切り浅くなっている屋根の部分を大きくする「骨切り術」を行います。また、変形が進行期~末期という重度であるけれども、スポーツをしたい、早く社会復帰をしたいなど、日常生活動作により高いアクティビティを求める方には、「人工股関節置換術」が適しています。
人工股関節置換術
変形性股関節症は、軟骨がすり減ることで神経が露出され、動く度にその神経が刺激されるので痛みが出ます。人工股関節置換術は、この痛みの原因になっている部分を全て取り除き、人工関節に換えるので高い除痛効果が期待でき、患者さんの満足度が高い手術です。
以前の人工関節は、10年~15年で再置換術が必要だと考えられ、65歳以上の方に手術を行ったほうが良いとされていました。現在の人工関節は、性能や材質が大きく向上し耐用年数が延びているので、活動性の高い50歳代でも手術を受けるケースが増えています。
関節包靭帯支援ロボットのイメージ
関節包靭帯
人工股関節置換術では、主に2つの進歩があげられます。1つは「MIS(Minimum InvasiveSurgery:最小侵襲手術)」で、股関節周辺の筋肉などの軟部組織を徹底的に温存する手術方法です。特に現在は、股関節包にある4本の靭帯全てをできるだけ温存する手技が注目されています。ご自身の靭帯が温存できると、股関節がより安定するので脱臼リスクをさらに低減できます。また、傷口が7~10センチと小さいため手術後の痛みの軽減にもつながります。
2つ目は「CAS(Computer Assisted Surgery:コンピューター支援手術)」という、人工関節を正確に設置するためにナビゲーションシステムや手術支援ロボットなど、コンピューター技術を使った手術が増えています。術前計画に基づいて正しい設置角度を示してくれるので、安定した成績や手術時間の短縮が望めるようになりました。
この2つの医療テクニックは一方の習熟だけでは意味がなく、両方を融合して行うことが大切です。靭帯を温存するMISと正確な設置を目指すCASの併用によって、術後の禁忌姿勢は原則なくなり、患者さんの希望するスポーツを早めに許可できるようになっています。患者さんのなかには、ゴルフやテニス、バレエ、サーフィン、正座を伴う茶道に復帰している方もおられ、患者さんができる範囲が広がっていると思います。
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