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専門医インタビュー

肩の痛みは様々な原因が考えられます お一人で悩まず肩の専門医にご相談ください

この記事の専門医

鈴木 隆 先生
  • 鈴木 隆 先生
  • 西京都病院 副院長・整形外科部長
  • 075-381-5166

京都府

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専門分野:スポーツ外傷・障害、肩・膝関節鏡視下手術
専門医・認定医など:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、難病指定医

この記事の目次

鏡視下腱板修復術や上方関節包再建術(ASCR)とはどのような手術方法なのでしょうか?

上方関節包再建(ASCR)

上方関節包再建(ASCR)

腱板断裂を治療する選択肢はたくさんありますが、手術の場合、できるだけ患者さんへの侵襲が少ない方法もあります。鏡視下腱板修復術は、肩を大きく切ったり、筋肉などに過度な損傷を与えることなく、4ケ所程小さく皮膚を切った箇所から手術器具などを挿入し、周囲の組織を温存しながら断裂した腱板を縫合する治療です。しかし、棘上筋が断裂して肩関節窩の真上やそれよりも退縮し、更に棘下筋や肩甲下筋にまでも断裂が及んでいる広範囲断裂に対しては、鏡視下手術での腱板修復は難しいと言われています。ところが、上方関節包再建術(ASCR)と言う、日本で初めて行われ世界的にも広がった鏡視下手術が行われることがあります。この手術法は、断裂している腱板を修復しつつ、棘上筋の部分には、損傷している側とは反対側の太ももにある大腿筋膜を採取し、それを二重・三重に折り畳み、上腕骨側と関節窩側で縫い合わせ、欠損していた上方の関節包を再建します。この手術を受けることで、痛みの軽減だけでなく、肩が挙げられるなどの機能回復が期待されています。

患者さんが納得される手術方法を選んだほうが良いのですか?

リバース型人工肩関節

リバース型人工肩関節

従来の人工肩関節

従来の人工肩関節

広範囲腱板断裂に対しては、従来の人工肩関節の構造を反転した、リバース型人工関節の手術が行われることがあります。リバース型人工関節は、腱板が機能していなくても、三角筋の力によって肩を挙げることが期待できます。
短い期間でのリハビリで腕をある程度挙げられるのですが、過度な負担をかけることは望ましくなく、長期的に三角筋が傷んだり、人工関節が緩んだり摩耗したりするという報告があります。一方で、鏡視下腱板手術による腱板修復やASCRは、リハビリに時間がかかるのですが、ある程度のスポーツや力仕事に復帰できる可能性があります。どちらの手術が良いかは、患者さんの状態によっても異なりますが、ご自身がどのようなお仕事や日常生活を送っているか、手術後に行いたい趣味などをきちんと医師に伝え、ご自身にあったオーダーメイドの治療を選択していただきたいと思います。

鏡視下腱板手術やリバース型人工関節の手術後に気を付けることはありますか?

少しずつ患者さんご自身の力で肩を動かす訓練を行う

鏡視下腱板手術の場合もリバース型人工関節の手術後は、入院している一定期間は装具で固定し肩の動きを制限します。手術方法によって異なりますが、最初は理学療法士の力で肩を動かす可動域訓練から始め、少しずつ患者さんご自身の力で肩を動かす訓練を行っていきます。ご自宅に戻られてからは、術後の時期や経過の状態によって徐々に活動量を上げていく必要があります。
初期の頃に肩に負担をかけない姿勢は、ご自身ではコントロールしにくい場合があり、無理に動かすと再発したり再断裂したりすることがあります。術後の経過を良好なものにするために、その期間はできるだけ入院して医師からの指示をきちんと守るようにしたほうが良いと思います。

肩の痛みに悩まれている方へメッセージをお願いいたします

肩に痛みがあることは、大変辛いことだと思います。痛みによって肩が挙げにくくなったり、仕事がしにくくなったり、夜に寝ていても痛みを感じる方が多くおられます。しかし、きちんと治療されず放置されている方がかなり多くおられます。そのような方に、肩の痛みを改善する様々な治療法があることを知っていただきたいと思います。肩に痛みがあれば、お一人で悩まずに、お気軽に肩を専門にする整形外科医にご相談ください。


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