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専門医インタビュー

股関節の痛み 一人で悩まず専門医に相談して適切な治療を受けましょう

小西 奈津雄 先生

秋田県

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1988年 秋田大学医学部卒業
保有資格:医学博士、日本整形外科学会専門医
所属学会:日本整形外科学会、日本股関節学会、日本リウマチ学会、日本人工関節学会

この記事の目次

変形性股関節症をはじめとする股関節の痛みは、特に中高年の女性に多くみられる病気です。最初は微かな痛みであっても、時間が経つにつれ深刻な症状へと変わっていく場合もあります。秋田厚生医療センターの小西奈津雄先生に股関節痛の原因や治療法について詳しくうかがいました。

股関節はどのような構造をしていますか?

股関節のしくみ

股関節のしくみ

股関節は、上半身と下半身をつなぐとても重要な関節です。太もも側の骨を大腿骨(だいたいこつ)と呼び、その大腿骨の先端にあるボールのような形をした部分を大腿骨頭と言います。また骨盤側で大腿骨頭の受け皿となる深いお椀のような形をした部分を臼蓋(きゅうがい)と言います。股関節はこれらの大腿骨頭と臼蓋が組み合わさることで機能しています。正常な股関節では、臼蓋が大腿骨頭の約4/5 を包み込んで、関節を安定させていると言われています。

中高年の方々が抱える股関節の痛みの要因には、どのようなものがありますか?

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全

股関節の痛みの原因の多くは変形性股関節症が考えられます。関節の軟骨がすり減ったり骨が変形したりすることで股関節が正常に機能しづらくなる病気です。発症すると痛みが生じるだけでなく、曲げ伸ばしできる範囲(可動域)が小さくなります。また変形が進んで脚がスムーズに動かなくなったり左右で脚長差が生じたりすると、跛行(はこう)といって脚を引きずるような歩き方になることもあります。
日本人の場合、先天的に臼蓋側のかぶりが浅く、股関節が不安定な状態である臼蓋形成不全が原因となり変形性股関節症に進行するケースが少なくありません。そのような人は30歳代~40歳代で症状があらわれることもあります。患者さんの多くは女性で、家事や子育てといった日常生活動作の制限が増えてきてしまいます。

どのような症状がある場合に整形外科を受診すれば良いのでしょうか?

痛みを感じたら我慢せずに整形外科へ受診されることをおすすめします

関節の病気は進行する場合が多いので、痛みを感じたら我慢せずに整形外科へ受診されることをおすすめします。痛みの度合いや変形がひどくなる前に受診することで幅広い治療選択肢からご自身に合った治療を進められる可能性が高まります。またご自身では股関節に原因があると思っていても、調べてみたら実は腰などのほかの場所が原因だったというケースも多くあります。自己判断で症状を放置していると治療のタイミングを逃してしまう可能性もありますから、ご自身の体の中で起きていることを早期に正確に判断してもらうことが大切です。
整形外科を受診すると、まずは生活のスタイルや痛みが発生した経緯、現在困っていることなども含めて問診を行います。また触診で痛みの場所や股関節の可動域を確認します。さらにレントゲン検査で変形の度合いを評価し、患者さんに合わせた治療を選択することになります。

変形性股関節症の治療にはどういうものがありますか?

水中ウォーキング

水中ウォーキング

変形が軽度であれば、鎮痛剤を使って痛みを抑えながら股関節周辺の筋肉を鍛える運動療法を行います。その場合、プールでの水中ウォーキングなどが股関節に負担がかかりにくくおすすめです。仰向けに寝た状態での脚上げや横向きの片脚上げなども有効ですので、ぜひご自宅で実践してみてください。股関節周辺の筋力が強くすることが股関節の安定化につながり、痛みや可動域が改善されるケースもあります。ただし、過度な運動はかえって病気を悪化させることもありますので注意が必要です。その意味でも先ずは医療機関を受診することをお勧めします。


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