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専門医インタビュー

治療の選択肢を広く持つために、膝の痛みを感じたら早めに整形外科へ受診を

この記事の専門医

山際 浩史 先生
  • 山際 浩史(やまぎわ ひろし) 先生
  • 済生会新潟病院 整形外科部長
  • 025-233-6161

新潟県

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ドクタープロフィール:医学博士、日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター

この記事の目次

保存療法だけで変形性膝関節症は治るのでしょうか?

筋力強化と減量、消炎鎮痛剤の使用などの保存療法を行うことで症状が緩和される方もおられます。しかし保存療法で進行を予防できたとしても、残念ながら完治させる治療ではありません。変形性膝関節症は加齢と共に進行し、特に体重が多い方や筋力が落ちている方、O脚が進んでいる方は、症状が進行しやすい傾向があり、保存療法だけでは思うような効果が期待できない場合は手術を検討することがあります。
最近は高齢の方が増えており、自立した生活を送りたいからと手術を希望される方もおられます。ただし、手術を受けることを決めた場合でも、予定は十分検討したほうが良いかもしれません。親族の結婚式や夏休み期間中に孫の世話をしなければ、などの理由によりその期間を避ける方もおられますが、なかには、その大きなイベントに向けて、手術やリハビリを頑張るという方もおられます。

どのような手術が行われるのでしょうか?

関節鏡視下手術

関節鏡視下手術

軟骨・骨や半月板の状況、関節の変形や動きなど膝関節の状態によって手術方法が変わってきます。変形性膝関節症が初期の場合、半月板が損傷していることがあるので、そのような場合は、関節鏡を用い傷んだ半月板を縫合することがあります。また、膝の内側のみが傷んでいる軽度なO脚の方の場合、すねの骨を切りO脚をX脚に近づけ痛みを軽減させる骨(こつ)切り術を行うことがあります。O脚気味の方は、膝の内側に体重がかかりがちで、軟骨だけでなく内側の半月板が損傷していることがあります。そのような場合は、骨切り術だけでなく、半月板の治療も併せて行うことがあります。将来的に、外側の軟骨がすり減ると人工関節の手術が必要になるリスクはありますが、ご自身のひざ関節が温存できるので、重労働や激しいスポーツなどが行えることが期待できます。
骨切り術は50~60代の方に行うことが多い手術ですが、さらに年齢が進み膝の動きが悪くなっている場合は、人工膝関節置換術を行うことがあります。色々な手術方法がありますが、ご本人がこれからどう過ごしていきたいかを主治医としっかりご相談いただき、納得のいく治療方法を選択いただきたいと思います。

人工膝関節置換術は、どのように進歩しているのですか?

人工膝関節単顆置換術(左)と人工膝関節全置換術(右)

人工膝関節単顆置換術(左)と
人工膝関節全置換術(右)

人工膝関節置換術は、かつては70歳以上になってから手術を受けたほうが良いとされていましたが、人工関節のそのものが進歩し、耐用年数が延びたことで、最近では60歳くらいの方でも手術を受けるようになっています。
人工膝関節置換術には、主に内側だけを人工関節に置き換える「単顆(たんか)置換」と、全てを換える「全置換」があり、その種類やサイズバリエーションも豊富になっています。単顆置換は、軟骨の損傷が膝の内側に限るなどの適応があるのですが、膝の中にある靭帯を温存でき、皮膚や骨を切る大きさや量が全置換術よりも少ない手術です。そのため、手術後早期から手術による痛みも少なくスムーズにリハビリを行え、術後の違和感の少ない方法です。
以前は、人工関節のサイズ、骨を切る角度や量を、手術前のレントゲン画像をもとに計画を立てていました。近年では、CT画像から患者さんの立体的な骨のモデルを作成することができます。手術前には、コンピューター上でその画像をもとに、どのくらいの大きさの人工関節を選択すれば良いか、どこに人工関節を設置できれば良いかという手術のシミュレーションを事前に行ってから実際の手術に臨むことができ、手術中は、その計画通りになるよう正確に手術を行います。


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