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専門医インタビュー

変形性膝関節症の特徴的な症状を見逃さず変形が進行する前に膝の専門医に相談を

この記事の専門医

横山 勝道 先生

岡山県

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日本整形外科学会(JOA)
日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)
日本 Knee Osteotomy フォーラム(JKOF)

この記事の目次

手術を考えたほうが良いタイミングや、糖尿病があっても手術を受けることができるか教えてください

保存療法を3ケ月程度続けても効果がみられない場合は、保存療法での効果は期待できないかもしれません。保存療法を続けても効果を感じない場合や、日常生活に支障をきたしてきた場合は手術を考えたほうが良いタイミングだと思います。
手術を希望される場合、手術前の全身検査の結果、麻酔に耐えられないので手術を受けることができないというケースが稀にあります。持病の中でも、特に糖尿病の方は注意が必要です。糖尿病の方は、感染症のリスクが上がるため、手術前だけでなく、手術後も血糖値をしっかりコントロールすることが大切です。

変形性膝関節症の手術療法について教えてください。

骨切り術

骨切り術

関節鏡視下手術

関節鏡視下手術

変形性膝関節症の手術は、代表的な方法として3つあります。
ひとつは関節鏡視下手術です。膝関節の周辺に小さい穴を数ケ所開け、カメラや手術器具を入れ行う手術です。アメリカでは効果が低いとされている手術方法ですが、膝の中にある軟骨のかけらを取り除いたり、切れている半月板を切除したり縫合します。変形性膝関節症の進行があまり進んでいない方や、人工関節の手術ができない高齢の方などが対象になりますが、治療を行うことで症状の軽減が期待できます。比較的身体への負担が少ないため、手術翌日からの歩行も可能で入院期間も短く済みます。
もうひとつは骨(こつ)切り術で、近年増えてきている手術です。日本人の場合、膝の内側から変形が進む内側型の方がほとんどで、たいていはO脚になっています。そのため、すねの骨を切り、脚の形をややX脚に矯正し、膝の痛みを軽減させます。人工膝関節置換術の場合、術後は高い場所からジャンプできないなど日常生活に制限があります。しかし、骨切り術はご自身の膝関節を温存できるので、重労働や、インパクトスポーツと呼ばれるサッカーや剣道などの運動をされる活動性の高い生活を送りたい方に向いている手術です。最後が人工膝関節置換術です。これは、傷んで変形した膝関節の表面を取り除き、金属の人工関節に置き換える手術です。痛みを改善し、歩行もしやすくなるので、激しいスポーツを行わない方や変形が高度な方に向いている手術だと思います。

人工膝関節置換術について詳しく教えてください

人工膝関節全置換術(左)と単顆置換術(右)

人工膝関節全置換術(左)と
単顆置換術(右)

人工膝関節置換術には、膝の全体を置換する全人工膝関節置換術(全置換術)と、内側など部分的に置換する人工膝関節単顆置換術(単顆置換術)があります。
全置換術は、人工関節自体に様々な工夫を凝らしてあるため、どんなに膝が変形している方にもたいてい対応できます。現在の人工関節は、以前よりもよく膝を曲げられるようになっているのですが、それでも多少の制限はあります。
単顆置換術は、全置換術よりも小さな人工関節を入れるため、膝をよく曲げられることが期待できます。また、膝の中には重要な感覚を持つ前十字靭帯があり、単顆置換術ではそれを残すことができます。そのため、術後の違和感が少なく、患者さんの満足度も高くなります。また、手術の傷も小さく、回復も早いのが特徴です。

人工関節そのものや手術方法が進歩しているのでしょうか?

人工膝関節の一例

人工膝関節の一例

人工関節の金属と金属の間に入れるポリエチレンの加工処理が進歩し摩耗しにくくなっているので、以前より入れ換えの手術が少なくなったと思います。耐用年数は大体20年から30年と言われていますが、やはり使えば使うほどポリエチレンがすり減るので、若い頃に人工関節の手術を行うと、再置換の可能性は高くなります。
人工膝関節置換術は手術法自体も進化していて、現在では手術支援ロボットを使用し手術を行ったり、患者さんそれぞれに合わせた骨切りガイドを作成したりする方法もあります。また、人工膝関節置換術は設置する角度が重要なのですが、術前にCT画像を元にシミュレーションした位置に正確に人工関節が設置できるように、手術中は正確に骨の角度を測ってどの角度で人工関節を入れたら良いかを誘導してくれるナビゲーションシステムもあります。


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