メニュー

専門医インタビュー

ひざの痛み 我慢しないで整形外科に相談しましょう

諸岡 孝俊 先生

兵庫県

プロフィールを見る

資格・所属学会:日本整形外科学会整形外科専門医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
所属学会:人工関節学会、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)、日本臨床スポーツ医学会など
活動:ガンバ大阪チーフチームドクター、U24サッカー日本代表チームドクター(-2021年)

この記事の目次

加齢とともに進行する膝の痛み。その原因の多くが膝関節の軟骨がすり減り変形する変形性膝関節症です。今回は、西宮回生病院の諸岡孝俊先生に変形性膝関節症の原因や治療法についてうかがいました。

ひざが痛む原因を教えてください

正常な膝と変形性膝関節症(進行期)

中高年の方に多いのは変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)です。膝関節の太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間にある軟骨がすり減り、骨同士が当たって関節が変形することで痛みや炎症をともなう病気です。変形性膝関節症は一次性と二次性に分けられます。一次性ははっきりとした原因がなく、加齢や肥満などから変形が徐々に進行していきます。二次性は、関節にある半月板(はんげつばん)という組織の損傷や骨折などによる外傷のほか関節リウマチなど明らかな原因がきっかけで変形が進行します。日本人の場合は一次性の変形性膝関節症が多く、50歳代、60歳代あたりから症状があらわれます。

変形性膝関節症の主な症状は何ですか?

歩き出す時や立ち上がる時など、動作を開始する時に痛みが出る

歩き出す時や立ち上がる時など、動作を開始する時に痛みが出るのが特徴です。また、階段の昇り降りで痛みを感じる、長時間立っているのがつらい、膝に水がたまって腫れるなどの症状が出ることもあります。
特に膝の内側の変形が進んでくるとO脚が目立つようになり、がに股のような状態となって歩きにくいとおっしゃる方も少なくありません。
日常生活の中で、膝に痛みを感じたら整形外科に受診されることをお勧めします。ご自身の膝が今どのような状態なのか正しく診断を受けることが大切です。診断の結果を受けて特に治療の必要がない場合でも、将来症状が悪化した場合にどのくらい進行したのかを今の状態と比べて評価することができます。また変形性膝関節症と診断された場合でも、早期に相談することで進行を予防するための生活指導などのアドバイスを受けることができ症状が改善されるケースも多くあります。変形がひどくならないうちであれば手術以外の方法も含め幅広い治療選択肢がありますので、ぜひ我慢しすぎずに気軽に整形外科へご相談ください。

変形性膝関節症の場合に気をつけたほうが良いことはありますか?

減量

膝を深く曲げる動作は膝に大きな負担がかかります。床にしゃがみ込む動作や深いスクワットなどはできるだけ避けるようにしましょう。また肥満の方は体重コントロールも大切です。
例えば階段を昇り降りする際には、平地よりも数倍の体重が膝にかかっているといわれています。減量を続けるのはなかなか難しいことですが、1kg体重を減らすだけでも膝への影響は変わってきますので少しずつ減らしていけるよう取り組んでいきましょう。また運動については、切り返しがあるような激しいスポーツなどは控えることをお勧めします。

変形性膝関節症の治療法について教えてください

インソール

インソール

まずは手術以外の方法である保存療法で改善を目指します。主な方法はリハビリ、装具療法、薬物療法です。リハビリでは、大腿四頭筋(だいたいしとうきん)とよばれる太ももの前側の筋肉を鍛えることで膝関節の安定化を図ります。また患者さんの歩き方(歩容)の指導をしたり肥満の方は体重コントロールをしたりして、膝への負担を軽減していきます。
装具療法には、靴に入れるインソール(中敷き)や膝につけるサポーターがあります。薬物療法は痛みを抑える消炎鎮痛剤など患者さんの状態に合わせて選択されます。これらの保存療法によって症状が改善される方も多くいらっしゃいます。一方で、保存療法を行ったけれど痛みなどで日常生活に支障が出ている場合には、手術が選択肢となることがあります。


この記事の医師がいる
病院の詳細はこちら

ページの先頭へもどる

PageTop