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専門医インタビュー

外反母趾の痛みは我慢しないで専門医へ 靴選びなどの工夫で緩和されることもあります

この記事の専門医

滝 正徳 先生

静岡県

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専門分野:足の外科、スポーツ障害
取得資格:日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、義肢装具適合判定医

この記事の目次

外反母趾になると、どのような治療を行いますか?

手術以外の保存療法として、痛み止めを服用する薬物療法・運動療法・装具や靴を使った治療があります。運動療法は、足の指をグー・チョキ・パーと動かす運動や足の親指を内側へ引っ張るストレッチをおすすめしています。外反母趾が進むと親指につながる母趾内転筋(ぼしないてんきん)と呼ばれる筋肉などの組織が固くなり、親指が引っ張られてさらに変形することが多いため、地道なエクササイズは進行予防に役立ちます。
中でも、装具療法と適切な靴選びはとても重要です。装具療法には足の指に直接はめるタイプとインソール(靴の中敷き)の2つがあります。とくにインソール治療は足の横アーチを維持しやすくなり、バニオンや足裏にできたタコの痛みの軽減が期待できます。インソール治療は靴との相性も肝心なので、専門医のアドバイスでご自分の足の型に合った靴を選び、インソールを作るとよいでしょう。インソールには健康保険が適用されます。

足の指をグー・チョキ・パーと動かす運動

手術はどのタイミングで検討すればいいのでしょうか?

外反母趾は、親指の付け根にある「MTP関節(中足指節関節・ちゅうそくしせつかんせつ)」と「TMT関節(足根中足関節・そっこんちゅうそくかんせつ)」の変形によって起こります。レントゲン画像で進行度合いを見極めることができ、外反母趾の角度(中足骨(ちゅうそくこつ)と基節骨(きせつこつ)のつくる角度)が20~30度未満は軽度、30~40度未満が中等度、40度以上が重度と診断されます。
ただし重度だから即手術ということはなく、痛みの出方や困り具合をおうかがいして総合的に判断します。毎日靴を履くのが苦痛だったり、保存療法を続けても足の痛みでやりたいことができない時は、手術を検討してもいいでしょう。親指と人差し指が交差するクロスオーバートゥになると靴の中で痛みが出やすく、手術の難易度が少し上がりますので、その傾向が現れたら手術を選ぶ一つの指標になると思います。

進行度合い

外反母趾の手術について教えてください

外反母趾の手術は、張り出したバニオンの切除、固くなった筋肉や腱の調整、そして親指の中足骨(第1中足骨)を切って角度を矯正する「骨切り術」を組み合わせて行うのが一般的です。
第1中足骨骨切り術の方法は種類が多いため、進行度や年齢によって適切なものを選択します。代表的なものとして、MTP関節の近くで骨切りをする「遠位骨切り術」とTMT関節の近くで切る「近位骨切り術」があります。いずれも、中足骨の遠位(つま先側)または近位(かかと側)で骨切りした後、骨を人差し指側へ横にずらして曲がった変形を矯正し、金属でできたプレートやスクリューで固定するという手術です。プレートやスクリューは体内留置が可能ですが、皮膚の上から触ると違和感がある方は半年~1年後に骨が癒合してから抜去することが可能です。
この骨切りをする場所が近位になるほど外反母趾の角度を矯正する力が強くなり、より重度の外反母趾に対応しやすいと言われています。
また、重度の外反母趾でTMT関節が不安定な場合は、関節固定術(Lapidus法)という方法もあります。関節をしっかりと固定できるので、外反母趾の再発を防ぎやすく、術後の早期回復が期待できる方法です。

骨切り術の一例と関節固定術(Lapidus法)の一例

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