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専門医インタビュー

変形性膝関節症の症状と人工膝関節置換術 ~手術は本人の意志が最優先、周囲は適切なサポートを~

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福岡県

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日本整形外科学会認定整形外科専門医

この記事の目次

家族が気づいて背中を押すことで、受診されるケースもありますか?

多いですね。ご家族、特に娘さんと一緒に来院されるケースが多いようです。膝に限らず、運動器が悪くなって動作に痛みを伴うようになると、どうしても出歩かなくなります。外に出ないと筋肉が落ちて、ますます動けなくなり、家に引きこもりがちになってしまいます。元気だった自分の親のそんな姿を見ていると、やはり心配で不安になるのでしょう。歩行が困難になれば介護の問題も出てきます。そのためか、ご本人はあまり乗り気ではないのに、ご家族が積極的なケースも見受けられます。しかし、手術を受けるかどうかは、あくまでも患者さん本人の気持ちが最優先です。確かに、あまりにも活動力が落ち膝の可動域が狭くなってからの手術では、良好な結果は望めないかもしれません。しかし、少なくとも「手術を受けたいです」、「リハビリも頑張ります」という本人の意志がなければ、無理強いは禁物です。まずは、本人に前向きになってもらうことが大切です。そのためには、ご家族を始め、医師や医療従事者が様々な情報を収集・提供し、本人自らが納得して「頑張ろう!」と思えるような環境を作ってあげることが、タイミングを逃さずに手術を受けるためにも重要だと考えています。

退院後の生活には制限などあるのでしょうか?

退院後の動作制限は、正座の
禁止以外は特にありません

70代以上の患者さんが多いことからも、退院後の日常生活における制限は、正座の禁止以外は特に設けていません。「やりたいこと・やらなければいけないことは、何をしてもいいですよ」といっています。ただし、患者さんの状態によって頻度は違いますが、半年~1年に1回の定期検診だけは欠かさないように指導しています。何か異常やアクシデントがあれば早目に対応できますし、自宅や地域での様子を定期的に聞くことで、適切なアドバイスをすることも可能になります。実際に、人工膝関節置換術を受けた人の約9割は20年経っても問題なく生活ができていますが、残りの約1割の人は人工関節の耐用年数や合併症、ケガによる破損といったアクシデントなどにより、再置換手術を受けています。できる限り再置換を避けるためにも、定期検診は決して怠らないよう注意してください。退院後の話で多いのは、旅行に行けた感動や周りの人から「脚が真っ直ぐになって、歩き方がきれいになったよ。若返ったみたい」といわれた喜びなどですね。また、ご家族からは、「手術のタイミングが遅かったかもしれないと心配したが、順調に回復して本当に良かった!」という声をよくいただきます。

手術や施設の選択で迷っている方にアドバイスをお願いします。

人工膝関節置換術については、テレビや雑誌などでも多くの情報が提供されていますので、ぜひ参考にして下さい。術後は、定期検診や何か違和感を覚えた場合の受診など、担当の医師と一生付き合っていくことになりますので、手術を受ける場合には、「通院に支障がない」、「何かあればすぐに対応できる」といった、地域的な利便性も考慮する必要があると思います。さらに総合病院であれば、内科的な病気が見つかった場合でも他科との連携が密に取れますので、総合的な患者管理といった面でも安心できると思います。病気や治療法についての情報を積極的に発信している施設もありますので、そういった場で正しい知識を得たり、同じ悩みを持つ人と情報交換をしたりするのは、不安解消の面でもとても効果的だと思います。


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