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専門医インタビュー

この股関節の痛み、本当の原因は何?専門医への受診で長年の痛みが解消するかもしれません。

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大阪府

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大阪大学医学部卒業。大阪大学附属病院、大阪府立病院、大阪大学整形外科講師、大阪厚生年金病院整形外科部長などを経て、平成20年に増原クリニックを開設。

この記事の目次

術後のリハビリはいつから・どのように行われるのでしょうか?


一人ひとりの生活様式に合った
リハビリを実践しています

手術の翌日には、座位・立位で人工関節に身体を慣らす訓練を開始します。遅くとも翌々日には導尿用のバルーンや排液ドレーンを抜去し、歩行器や松葉杖を使った歩行訓練を開始します。トイレにはこの段階で行けるようになります。傷口は表面を縫わず被覆材で覆うため、抜糸の必要はありません。3日目~4日目には、傷口の状態を確認した上で、シャワーを始めることができます。術後2週目からは、ほぼ全荷重で本格的な歩行訓練を開始します。3週目~4週目は階段昇降、屋外歩行、入浴、布団の上げ下ろしなど、帰宅後の生活をシミュレーションした実践訓練を行い、退院後の生活に向けて自信をつけてもらいます。地方在住の人の場合には帰宅後すぐに車の運転が必要な場合もありますから、車の乗り降りをシミュレーションするなど、一人ひとりの生活様式に合わせたリハビリを実践します。退院後、脱臼を予防して安定した歩行を持続するためには、定期的な検診が非常に重要です。術後1年間は、最初の3ヵ月は月1回、その後は3ヵ月に1回の検診で人工関節の状態を検査してもらうといいでしょう。検診時には筋力や左右のバランスもチェックしますが、1年間頑張ると、ほとんどの人がかなりいいバランスレベルまで回復します。その段階に到達すれば、その後は半年に一度の検診になります。

人工関節を長持ちさせるポイントについて教えてください。

人工股関節の長持ちのためにも
スタッフの指導はきちんと守り
ましょう

体格や生活様式など様々な要因が影響するので、一概に耐用年数を示すのは難しいのですが、定期検診を適切に受け専門医やリハビリスタッフの指導を守っていれば、20年は問題なく使えるのではないかと思います。適度な運動を継続し規則正しい生活を送っている人に人工関節を長持ちさせている人は多いように感じますね。和式から洋式に生活様式を変えるのも、人工関節を長持ちさせる大きなポイントです。テーブルとイス、ベッド、洋式トイレなどは立ち上がり時の股関節への負担が格段に少ないので、ご家族の理解・サポートも望みたいところです。なお、糖尿病などの余病を持っている人は、疾患をきちんとコントロールすることが大切です。特に糖尿病の人は術後の感染症にかかりやすい傾向があるため、感染症予防の点からも血糖のコントロールをお願いしています。

手術をためらっている人に、何かアドバイスをお願いします。

「家族と旅行に行けるようになった」、「バスや電車といった公共の乗り物が使えるようになった」、「大好きなスポーツが思い切りやれるようになった」など、今まで色々なことを諦めなければならなかった患者さんから、喜びの声が数多く寄せられています。中には、身体が自由に動かないことから家の中に引きこもってしまい、うつ状態になっていた人からの感謝の言葉もあります。その他、スポーツも趣味の範囲にとどまらず、実業団レベルのバレーボールの選手や全国レベルの卓球選手などもいらっしゃいます。もちろん、危険な姿勢や避けなければいけない体位などは指導しますが、皆さん事故もなく上手に人工関節と付き合っているようです。日本は世界に冠たる長寿国ですが、やはり健康であっての長寿でありたいものです。「身体に不調はないのに、股関節が原因で生活の場は家の中だけ」というのでは余りにも勿体ないですし、非常にお気の毒だと思います。脚の付け根や太もも、膝、腰などの痛みが通院していても治らない場合は、一度、股関節の専門医を訪ねてみてください。そこから、新しいスタートが始まるかもしれません。


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