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専門医インタビュー

膝の痛みは放置せず、歩けなくなる前に専門医に相談を!

この記事の専門医

富山県

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医学博士、日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本体育協会公認スポーツドクター

この記事の目次

人工膝関節置換術は、現在日本でどのくらい行われているのですか?

2013年の時点で年間8万件以上行われているといわれており、高齢化の進行に伴って年々さらに増加傾向にあります。決して珍しい手術ではなく、ごく身近な手術になったといえますね。また、人工関節の軟骨の役目を果たすポリエチレンの材質が進歩して以前と比べて摩耗しなくなったため、人工関節がより長持ちするようになりました。現在は、術後20年で再置換術が必要になる人の割合は約1割ですが、今後、人工関節の耐用年数はもっと伸びる可能性があると思っています。また、仮に再置換術を受けることになった場合でも、現在は手術手技や手術器械も進歩しているので、以前ほど心配する必要はないでしょう。全身状態に問題さえなければ、80代での再置換術も十分に可能です。

手術前と手術後の歩行の様子(クリックすると動画が再生されます)

術前

術後(1年後)

人工関節を長持ちさせるために日常生活で気をつけるポイントは?

人工関節の状態を確認するためにも
定期検診は必ず受けましょう

とにかく「重いものは持たない」ことですね。ウォーキングはまったく問題ありませんが、ジョギングは膝に負担がかかるので避けてください。ゲートボールやゴルフは大丈夫です。事務職であれば、退院と同時に職場復帰することも可能です。術後、正座ができるようになる人もいますが、人工関節にかかる負担が大きく破損の原因にもなりますので、正座はしないようお願いしています。その他、畳に座る生活ではなくイスとテーブルに、寝る時は布団ではなくベッドにと、できる限り生活様式を和式から洋式に変えるようアドバイスしています。事前にご相談いただければ、ソーシャルワーカーが各種手続きも含めてお手伝いさせていただきますので、退院と同時に膝への負担が少ない生活に入ることも可能です。また、人工関節を長持ちさせるためには、術後の定期検診が欠かせません。退院から2週間~3週間後、3カ月後、6カ月後、1年後に受診していただき、人工関節の状態を定期的に確認しています。状態に問題がなければ、その後は1年~2年に1回のチェックでよいでしょう。

膝の痛みに悩んでいる人へアドバイスをお願いします。

「まだまだやりたいことがあるのに、膝が痛くてあまり動けない」という人には、人工膝関節置換術をお勧めします。「畑仕事を続けたい」、「ゴルフをしたい」、「旅行に出かけたい」というように、今後の人生に何かしらの目標を持っている人は回復も早いという実感があります。当院施術最高齢の95歳の男性は、「どうしてもトマトを作り続けたい」という一念で手術を受け、今ではお元気にトマト作りに励んでいらっしゃいます。他にも「身長が伸びた」、「O脚がひどくて諦めていたズボンがはけるようになった」、「若返ったといわれる」など、喜びの声が数多く寄せられています。膝の痛みを放置していると、膝が痛いから動かない→動かないから歩けなくなって家に引きこもる→その結果介護が必要になる、という悪循環に陥ってしまうことも決して少なくありません。まったく歩けない状態になってからでは、手術が受けられない場合もあります。ぜひ歩けなくなる前に、膝の専門医に相談してください。


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